歯学部の姉妹校・・・
ルーマニア カロル ダビラ・ブカレスト医科薬科大学歯学部
歯科補綴学第2講座  Roxana Stegaroiu

 新潟大学歯学部とカロル ダビラ・ブカレスト医科薬科大学歯学部との交流は1995年6月14日に始まりました。本学部歯科補綴学第2講座の草刈玄教授が招待を受け、学生を含む多くの教官の前で特別講義を行い、カロル ダビラ・ブカレスト医科薬科大学の名誉教授の称号を授与されました。
 歯学部は1949年に設立されました。現在の学生数は1400人、ヨーロッパの歯学部の中で最大の学生数となっています。学生の52%は30か国からの留学生で占められています。教官数は350人です。
 修学期間は6年、入学試験は一日3時間の試験が3日間続きます。試験科目は生物学、有機化学と物理学です。しかし、留学生は入学試験なしで、1年間ルーマニア語の勉強をした後、大学に入学が許可されます。
 各学年は10月1日から始まって、7月の半ばに最後の試験を終わってから、さらに3週間ぐらいのサマ−トレ−ニングがあります。各学年の学生を2つに分けて講義が行われますが、実習とセミナ−のためには、学生をさらに小さいグル−プ(10人ぐらい)に分けて教育しています。講義の出席は自由ですが、実習とトレ−ニングの出席のチェックはとても厳しく、欠席すると必ず別の日に同じ内容の授業を受けなければなりません。  2月の3週間と6月と7月の期間中に4週間試験があり、試験のない日学生はそれぞれの自宅で試験準備に懸命です。各試験期間後は休みで、学生も先生もホッとリラックスして大学を休みます。冬季試験後10日間、夏季試験後、6週間ぐらい休みがありますが、さらに、クリスマス、正月そしてイースタ−の休みもあります。
 歯学部は国立大学なのでル−マニア人における学費は無料ですが、留学生は授業料をドルで支払っています。学生全員、大学より教科書を借り、実習のための材料、器械などもある程度大学で準備します。
 授業科目は新潟大学歯学部の科目に似ているところが多いのですが、1年から歯科基礎と医科基礎の授業を行い、3年生から臨床実習が始まります。日本でいうところの教養科目は高校時代に修了します。大学の正式の授業科目の中には日本の歯学部で教えてないものがいくつかあります。遺伝学、ウイルス学、歯学 情報科学、免疫学、産婦人科学、医学心理学、小児科学、法医学、精神科学、インプラント学、オーラルリハビリテーションです。さらに、選択科目として医学史と論理学があります。
 卒業時に3つの試験からなる免許試験があります:
 ・試験1:内科学と外科学のうちの1つ
 ・試験2:口腔外科学、歯科保存学、歯科補綴学、歯科矯正学と小児歯科学のうちの2つ
 ・試験3:卒業論文の発表
卒業論文は指導教官のもとに簡単な研究を行い、写真も含めて150ペ−ジほどにまとめたもので、卒業時に5人の教授の前で、10分間、スライドを使って、この論文の発表をします。
 大学の教官を希望する歯科医師は卒業した直後インストラクタ−のための試験を受け、3年たってから助手のための試験も受けなければなりません。この2つの厳しい試験は3日間続けて、一日目は3時間の筆記試験、次の日は口頭試問を受けます。3日目は抽選により与えられたテーマについて約20分間試験官の前で教官としての模擬講義を行います。そのために、大学における最後の3年間の全科目の勉強を再び細かく復習をしなければ合格できません。講師以上になるためには、博士号を取得していないと試験を受けられません。講師、助教授と教授になるための試験の内容について詳しくわかりませんが、試験直前に緊張している助教授を見たことがあります。
 学位の取得にはまず能力試験があり、それを受けられる歯科医師は専門雑誌にある程度の研究発表された方です。博士論文は全員勤務しながら書くため論文発表までの期限はそれほど厳しくありません。
 歯学部には3年間の付属技工士学校があり、1学年は25人の学生がいます。1995年から3年間の付属衛生士学校が開校され、1学年30人が勉強しています。さらに、歯学部の教官は定期的に公務員の歯科医師の指導を行っています。
 現在歯学部の新しい建物の建設が進んでいます。1998年に素晴らしい歯学部および付属病院が完成する予定です!
 歯学部の姉妹校として現在まで、イスラエルのハダサ大学歯学部、イスラエルのテルアビブ大学歯学部、イギリスのマンチェスター大学歯学部とイタリーのカターニア大学歯学部があります。
 ルーマニアはさらに5000人程度の歯科医師が必要となっているのでルーマニアの7校の国立大学歯学部はその目標の達成を目指して努力しています。
 写真の説明
 写真1.カロル ダビラ・ブカレスト医科薬科大学歯学部長のガヌツァ教授を中心に補綴学講座のフトゥ教授と草刈教授。

 写真2.名誉教授の称号授与の際、カロル ダビラ・ブカレスト医科薬科大学学長ポペスク教授が草刈教授に大学のバナーを手渡しているところ。ポペスク教授の左はガヌツァ教授。
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