「歯科保健医療の現状と課題」

厚生省保健局歯科医療管理官 瀧口 徹


わが国の社会保障制度の軌跡は戦前の天災や経済思慌と世界大戦、戦後の繁栄、オイルショック、バブル経済の盛衰等に深く影響されてきた・最近マスメディアでよく引き合いに出される国民員担率50%の議論に象徴されるように、日本経済と支化の発展の下支えをしてきた世界に冠たる日本の社会保障制度も20世紀の終焉の時期に経済の低迷と少子高齢化社会の間題を抱え岐路に立ってし、る。社会保障の重要な構成要素である保険医療も、むろん歯科保険医療も例外ではない。新たな医療技術の開発、新たな疾息の出現、画期的治療法の開発、国民の医療に対する二一ドの多様化、これらは増え続(ナる医療費に拍車を掛げてくるとされる。このまま座視しては保険医療の屋台骨が揺らぐ恐れがあり早急なシステム再構築が必要であることは論を待たない。間題は誰が何をするかである。大変な難間であるが、少なくともそのための必要条件は、事態が変化する変曲点時点での正確な予測、それに基づく決断・意志決定と合意形成であろう、ここで平成8年は保険医療にとってまさに変曲点と考えられ、今回改定から多くのことが示唆される〕まず、今回の改定は毎年約1兆円増えている医療費は政管健保、組合健保、国保を軒並み赤字基調に転落せしめた財源難での改定であった。こうした財源難の中、改定財源を確保し、平成8年4月の診療報酬改定が終了した⊃今回の改定は8020運動を診療報酬の面からも推進する目的を新たに設定し歯周疾患の治療体糸の再編統合、新しい概念の補綴物維持管理方式か導入された。ここから未来に向かう議論を始めたい。