大 島 勇 人    

   事     項

   年 月 日  

         概       要

(教育上の業績)

1 「平成10年度組織実習の手引」の編集・刊行

 

1998年

平成10年 4月

 

 本学部組織学総論・各論実習,口腔組織発生学実習を効率よく行うための実習手引き書(約50頁)を編集・刊行し,組織学実習の教育に貢献した.

 

2 「平成11年度系統解剖実習の手引き」の編集・刊行

 

1999年

平成11年 5月

 

 本学部系統解剖学実習を効率よく行うための実習手引き書(約100頁)を編集・刊行し,系統解剖学実習の教育に貢献した.

 

3 「平成11年度口腔組織発生学の手引き」の編集・刊行

 

1999年

平成11年10月

 

 本学部口腔組織発生学講義・実習を効率よく行うための講義・実習手引き書(約40頁)を編集・刊行し,口腔組織発生学講義・実習の教育に貢献した.

 

4 「平成12年度系統解剖実習の手引き」の編集・刊行

 

2000年

平成12月 5日

 

本学部系統解剖学実習を効率よく行うための実習手引き書(約100頁)を編集・刊行し,系統解剖学実習の教育に貢献した.

 

5 「平成12年度口腔組織発生学の手引き」の編集・刊行

 

2000年

平成12年10月

 

 本学部口腔組織発生学講義・実習を効率よく行うための講義・実習手引き書(約60頁)を編集・刊行し,口腔組織発生学講義・実習の教育に貢献した.

(職務上の業績)

1 平成7年度(第7回)歯科基礎医学会賞受賞講演

 

1995年

平成 7年 9月

 

東京で開催された第37回歯科基礎医学会総会にて,「ラット臼歯窩洞形成後の免疫担当細胞の反応−OX6モノクロナール抗体による免疫組織化学的研究−」と題する受賞講演を行った.

 

2 大学院特別セミナー講師

 

1997年

平成 9年 2月

 

東京医科歯科大学第三保存学教室大学院セミナーにて,「窩洞形成と歯髄」と題する特別講演を行った.

 

3 大学院特別セミナー講師

 

1998年

平成10年 3月

 

 東京医科歯科大学第三保存学教室大学院セミナーにて,「歯胚形成における上皮間葉相互作用」と題する特別講演を行った.

 

4 大学院特別セミナー講師

 

1999年

平成11年 3月

 

 

東京医科歯科大学第三保存学教室大学院セミナーにて,「歯髄の発生と再生」と題する特別講演を行った.

 

 

5 特別講演

 

2000年

平成12年10月

 

 韓国延世大学校歯科大学学部学生特別講義にて「Enamel formation and structure」と題する特別講演を行った.

著書,学術論

 

文等の名称

単著,

共著

の別

発行又は発

 

表の年月

発行所,発表雑誌等

又は

発表学会等名称

 

          要

(著書)

 

 

 

 

1 カラーアトラス 治癒の歯内療法

共著

2000年

平成12年 7月

クインテッセンス出版

pp. 21-46

編者 月星光博,福西一浩,仲田憲司

著者 前田健康,大島勇人

 大学院学生,臨床研修医向けに書かれた歯内療法の教科書.科学的根拠に基づく歯内療法の基礎から臨床的知識,さらには技術法まで網羅している.分担者は,歯と歯周組織の組織学・発生学を豊富な顕微鏡写真とともに解説し,歯科臨床を行う上で役立つ基礎的事項の習得に重点をおいた.さらに歯の発生学に関する分子生物学的所見についてもふれた.

分担部分「歯と歯周組織の発生と構造

(学術論文)

 

 

 

 

1 Ultrastructural changes in odontoblasts and pulp capillaries following cavity preparation in rat molars.

(博士学位論文)

単著

1990年

平成 2年10月

Archives of Histology and Cytology

Vol. 53, no. 4

pp. 423〜438

窩洞形成後の象牙芽細胞と歯髄毛細血管の動態を 100日齢のラット上顎第一臼歯を用い光顕的および透過電顕的に検索した.窩洞形成後の象牙芽細胞の変性に伴う間葉細胞の象牙芽細胞への分化に有窓性毛細血管が重要な役割を果たしていることが明らかとなったが,修復象牙質形成においては,原生象牙質形成時に見られる歯髄毛細血管の象牙芽細胞層への侵入および血管内皮の窓の著明な増加は見られず,両者における毛細血管の動態の違いが明らかとなった.

 

2 胎生期ラットの口腔組織における微小循環−血管鋳型法と走査電顕による観察

 

共著

 

1987年

昭和62年12月

 

新潟歯学会雑誌

17巻 2号

57〜63 頁

 

著者 吉田重光,千葉順一,大島勇人,小林茂夫

胎生期ラットの口腔組織における微小循環を血管鋳型法で観察するための灌流装置を考案し,胎生18.5日から22.0日までのラット胎仔の舌背と上顎第一臼歯歯乳頭の血管網の三次元構築を明らかにした.本研究の灌流装置を用いることによって,胎生期における微小循環の研究に血管鋳型法を応用することが可能であることが示された.さらに,これらの血管鋳型標本の作製手順および試料の取り扱いについて述べた.

 

3 ラット臼歯の象牙質形成に伴う歯髄終末毛細血管の微細構造学的変化

 

共著

 

1988年

昭和63年12月

 

歯科基礎医学会雑誌

30 6

807〜817 頁

 

著者 吉田重光,大島勇人,小林茂夫

象牙質形成に伴う歯髄毛細血管の微細構造学的変化について,胎生19日から生後25日までのラット上顎第一臼歯を用いて,経時的に透過電子顕微鏡で観察した.石灰化象牙質が一層形成されると歯髄毛細血管は象牙芽細胞に進入を開始し,有窓性毛細血管の割合が増加した.歯髄終末毛細血管の位置的および微細構造学的変化は,象牙質の形成と石灰化を活発に行っている象牙芽細胞の高度な代謝要求と密接に関係していると思われた.

 

4 Development of the vascular supply in the dental pulp of rat molars--scanning electron microscope study of microcorrosion casts.

 

共著

 

1988年

昭和63年12月

 

Okajimas Folia Anatomica Japonica

Vol. 65, no. 5

pp. 267〜281

 

著者 Yoshida S, Ohshima H, Kobayashi S

胎生19日から生後21日までのラット上顎第一臼歯歯乳頭の血管網の変化を血管鋳型・走査電顕法で観察した.胎生19日には歯乳頭の内方に疎な平坦な太い血管網が見られたが,象牙質形成の開始に伴い,歯乳頭毛細血管は象牙芽細胞層に進入し,ヘアピンル−プを形成した.生後21日には象牙芽細胞間の終末毛細血管は象牙前質近傍に密な血管網を形成していた.

 

5 Vascularization of the enamel organ in developing molar teeth of rats--scanning electron microscope study of corrosion casts.

 

共著

 

1989年

平成元年 8月

 

Okajimas Folia Anatomica Japonica

Vol. 66, no. 2-3

pp. 99〜111

 

著者 Yoshida S, Ohshima H, Kobayashi S

胎生19日から生後5日までのラット上顎第一臼歯エナメル器の血管網の変化を血管鋳型・走査電顕法で観察した.エナメル質形成の進行に伴い毛細血管はエナメル器に侵入し,中間層に接して平坦な血管網を形成していた.エナメル器における毛細血管の存在はエナメル質形成に必須の代謝物質の迅速で十分な供給に対応した変化と考えられた.これら毛細血管は,発芽によりエナメル器に進入し,その後ループ形成により発達した.

 

6 Blood vascular architecture of the rat lingual papillae with special reference to their relations to the connective tissue papillae and surface structures: a light and scanning electron microscope study.

 

共著

 

1990年

平成 2年 3月

 

Acta Anatomica

Vol. 137, no. 3

pp. 213〜221

 

著者 Ohshima H, Yoshida S, Kobayashi S

30日齢のラット舌乳頭の血管構築ならびに結合組織乳頭の形態を血管鋳型・走査電顕法で観察した.糸状乳頭,茸状乳頭,葉状乳頭,有郭乳頭で見られた特徴的な血管網は結合組織乳頭と表面形態の形に対応していることが明らかとなった.茸状・葉状・有郭乳頭における味蕾に接する部位では密な血管網が見られ,味覚と豊富な血液供給の密接な関係が示唆された.

 

7 ラット臼歯歯髄終末毛細血管の加齢変化

 

共著

 

1990年

平成 2年 4月

 

歯科基礎医学会雑誌

32 2

151〜158 頁

 

著者 吉田重光,大島勇人,須藤弘幸,小林茂夫

生後30日から 100日までのラット上顎第一臼歯を観察の対象とし,加齢に伴う歯髄終末毛細血管の微細構造学的変化を経時的に透過電顕を用いて観察した.歯髄毛細血管は生後30日では象牙芽細胞層内,象牙前質近傍に位置しており,有窓性毛細血管で構成されていた.象牙芽細胞の分泌活性の低下に伴い,終末毛細血管は象牙芽細胞下層に位置するようになった.歯髄終末毛細血管の位置的変化は象牙質形成と密接に関係していることが示された.

 

8 The relationship between odontoblasts and pulp capillaries in the process of enamel- and cementum-related dentin formation in rat incisors.

 

共著

 

1992年

平成 4年 4月

 

 

Cell and Tissue Research

Vol. 268, no. 1

pp. 51〜63

 

著者 Ohshima H, Yoshida S

30日齢のラット下顎切歯を用い,象牙質形成に伴う象牙芽細胞と歯髄毛細血管の相互関係をエナメル質で被われた唇側とセメント質で被われた舌側に分けて検索した.歯髄毛細血管の象牙芽細胞層への進入および血管内皮の窓の増加は象牙芽細胞の分泌活性と密接に関係することを明らかにした.また,象牙芽細胞は,形成端から切縁側まで著明な形態変化を示し,immature odontoblasts,mature odontoblasts,post-odontoblastsの3つに分けられた.

 

9 Histochemical demonstration of calcium phosphate depositions in the enamel organ of calcium-loaded tooth germs of the rat.

 

共著

 

1993年

平成 5年

 

 

 

Archives of Comparative Biology of Tooth Enamel

Vol. 3

pp. 57〜64

 

著者 Takano Y, Ohshima H

エナメル器の細胞のCa結合性を明らかにするために,13日齢のラットを高カルシウム溶液で灌流し,第二臼歯歯胚と切歯を急速凍結置換しCa沈着をGBHA染色で観察した.形成期エナメル芽細胞と成熟期SAのみにCa沈着が見られ,形成期エナメル芽細胞とSAの形質膜のCa結合性に類似が見られた.

 

10 GBHA staining method: Its application to demonstration of cytoplasmic calcium store in some exocrine and endocrine glands.

 

共著

 

1993年

平成 5年

 

 

Journal of Hard Tissue Biology

Vol. 2, no. 2

pp. 20〜27

 

著者 Takano Y, Ohshima H, Maeda T, Sato Y

幼弱雌性ラットの内外分泌腺である副腎,膵臓,顎下腺を急速凍結置換しGBHA染色を施し,Caの局在を光顕・電顕で観察した.GBHA染色が腺細胞のCa局在の多様性を示し,腺細胞におけるCa沈着と異所性の石灰化との相関を解明するのに有用であることが示された.

 

11 Histochemical localization and X-ray microanalysis of calcium in the rat submandibular gland: demonstration of possible sites for microlith induction.

 

共著

 

1993年

平成 5年 6月

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 56, no. 2

pp. 177〜184

 

著者 Takano Y, Sato Y, Ohshima H, Maeda T, Kawahara I, Noguchi I

幼弱雌性ラットの顎下腺を急速凍結置換し,Caの局在をGBHA染色で検索すると共に,分析電顕を用い元素分析を行った.その結果,顎下腺の細胞内外に生理的なCaが局在し,唾液の合成・分泌経路に沿ってCaの局在が著明に変化することを明らかにし,唾石や小結石形成との相関が伺われた.

 

12 The relationship between odontoblasts and immunocompetent cells during dentinogenesis in rat incisors: an immunohistochemical study using OX6-monoclonal antibody.

 

共著

 

1994年

平成 6年12月

 

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 57, no. 5

pp. 435〜447

 

著者 Ohshima H, Kawahara I, Maeda T, Takano Y

30日齢のラット切歯を用い,形成端から切縁までの歯髄におけるクラスII MHC抗原陽性細胞の局在・微細構造を検索した.クラスII MHC抗原陽性細胞が象牙芽細胞層内有窓性毛細血管に付随して存在し,血行性に侵入する可能性のある外来抗原に対するセンサー細胞として機能している可能性が示唆された.

 

13 Responses of immunocompetent cells to cavity preparation in rat molars: an immunohistochemical study using OX6-monoclonal antibody.

 

共著

 

1995年

平成 7年

 

Connect Tissue Research

Vol. 32, no. 1-4

pp. 303〜311

 

著者 Ohshima H, Sato O, Kawahara I, Maeda T, Takano Y

100日齢のラット臼歯に窩洞形成を施し,クラスII MHC抗原陽性細胞の動態を検索した.クラスII MHC抗原陽性細胞は,窩洞形成後12時間で傷害を受けた歯髄・象牙質境に集まり,空の象牙細管中に細胞突起を侵入させていた.これら抗原提示細胞は,露出した象牙細管を通って侵入する可能性のある抗原に対するセンサー細胞として機能していることが推測された.

 

14 Postnatal development of periodontal ruffini endings in rat incisors: an immunoelectron microscopic study using protein gene product 9.5 (PGP 9.5) antibody.

 

共著

 

1995年

平成 7年11月

 

Journal of Comparative Neurology

Vol. 362, no. 4

pp. 551〜564

 

著者 Nakakura-Ohshima K, Maeda T, Ohshima H, Noda T, Takano Y

生後1日から60日までのラット切歯歯根膜のルフィニ神経終末の生後発育を抗PGP9.5抗体を用いた免疫電顕法にて検索した.歯根膜のルフィニ神経終末は,切歯萌出期に出現し,切歯咬合開始期になると急激な数の増加と形態的成熟を示し,臼歯咬合開始期に成熟ラット歯根膜に類似した分布密度・形態を獲得することが明らかとなった.

 

15 Occurrence of amorphous and crystalline mineral deposits at the epithelial- mesenchymal interface of incisors in the calcium-loaded rat: implication of novel calcium binding domains.

 

共著

 

1996年

平成 8年 6月

 

 

Anatomical Record

Vol. 245, no. 2

pp. 174〜185

 

著者 Takano Y, Hanaizumi Y, Ohshima H

ラットを高Ca溶液で灌流し,その後固定し,上皮・間葉界面におけるCa結合領域を電顕的・分析電顕的に解析した.その結果,Caの沈着が外套象牙質,内エナメル上皮間に見られ,これらの沈殿が針状化することが明らかになり,エナメル質結晶の沈着を促進する調整因子の存在が伺われた.

 

16 Distribution and organization of peripheral capillaries in dental pulp and their relationship to odontoblasts.

 

共著

 

1996年

平成 8年 6月

 

 

Anatomical Record

Vol. 245, no. 2

pp. 313〜326

 

著者 Yoshida S, Ohshima H

30日齢のラット切歯,胎生18.5日〜生後100日までのラット臼歯を用い,歯髄毛細血管の形態変化と象牙芽細胞のライフサイクルとの相関を走査・透過電顕的に検索した.歯髄毛細血管は象牙芽細胞の分泌活性に対応し,象牙芽細胞層内に侵入し,連続性から有窓性へと形態を変化させることが明らかとなった.

 

17 Dendritic cells: a novel cellular component of the rat incisor enamel organ appearing in the late stages of enamel maturation.

 

共著

 

1996年

平成 8年11月

 

 

Advances in Dental Research

Vol. 10, no. 2

pp. 94〜104

 

著者 Takano Y, Kawahara I, Hoshino M, Takeuchi K, Maeda T, Ohshima H, Hanaizumi Y, Kawano Y

ラット切歯エナメル器中のクラスII MHC抗原陽性細胞の分布を免疫電顕的に検索した.クラスII抗原陽性細胞は,成熟期のエナメル器血管付近に現れ次第に数を増し,エナメル芽細胞への鉄の集積時に最大となり,エナメル質付近まで突起を伸ばすものが増加した.陽性細胞の成熟機構の関わりが伺われた.

 

18 Acid phosphatase activity in the class II MHC antigen-expressing cells in the rat incisor pulp.

 

共著

 

1997年

平成 9年 3月

 

Dentistry in Japan

Vol. 33

pp. 8-14

 

著者 Ohshima H, Maeda T, Takano Y

30日齢ラット切歯を用い,歯髄クラスII MHC抗原陽性細胞のうち樹状細胞とマクロファージの異同について,酵素組織化学的に検索した.その結果,象牙芽細胞層内陽性細胞はACPase活性が弱く,貪食能のない樹状細胞であることが推測され,ACPase強陽性のマクロファージは歯髄内方に位置していた.

共同研究につき本人分担部分抽出不可能

 

19 Early ultrastructural changes in the dorsal mucosa of rat tongue after irradiation, with special reference to the microvasculature.

 

共著

 

1997年

平成 9年 9月

 

Radiation Medicine

Vol. 15, no. 5

pp. 305〜315

 

著者 Obinata K, Ohshima H, Takano Y, Ito J

放射線照射後のラット舌の組織変化,特に粘膜固有層血管網の形態変化を光顕・電顕的に検索した.ラット舌背では放射線照射後早期に上皮細胞が変性するが,粘膜固有層にほとんど変化はなく血管網には炎症に伴う血管拡張以外に異常像はなかった.上皮細胞と血管構成要素の放射線感受性の違いが確認された.

 

20 Class II MHC antigen-expressing cells in the pulp tissue of human deciduous teeth prior to shedding.

 

共著

 

1998年

平成10年 3月

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 61, no. 1

pp. 1〜15

 

著者 Kannari N, Ohshima H, Maeda T, Noda T, Takano Y

ヒト乳歯の生理的歯根吸収過程における歯髄クラスII MHC抗原陽性細胞の動態を免疫細胞化学的・酵素組織化学的に検索した.象牙質の内部吸収・吸収窩の硬組織添加過程における破歯細胞・セメント芽細胞様細胞の分化・移動にクラスII MHC抗原陽性細胞が何らかの役割を果たす可能性が示唆された.

 

21 歯根膜ルフィニ神経終末の形態学的基盤

 

共著

 

1998年

平成10年 4月

 

 

解剖学雑誌

73巻 2号

119〜134 頁

 

著者 前田健康,大島勇人

歯根膜は歯の支持・固定装置であるが,豊富な知覚神経支配を受け,感覚装置としても機能している.歯根膜の知覚受容器のうち機械受容器ルフィニ神経終末が歯根膜機械受容器として咀嚼運動の神経性制御に深く関わっている.歯根膜ルフィニ神経終末の形態学的特徴ならびに発生過程について解説した総説.

 

22 Experimental chronic infection induced in mice by Actinomyces israelii entrapped in alginate gel.

 

共著

 

1998年

平成10年 6月

 

 

Archives of Oral Biology

Vol. 43, no. 6

pp. 485〜496

 

著者 Moral MA, Ohshima H, Maeda T, Hoshino E

マウス頭蓋皮下組織に放線菌による慢性炎症病巣を形成するモデルを確立し,慢性炎症病巣の形成過程と膠原線維による病巣のカプセル化について光顕・電顕的に検索した.初期病巣には好中球による放線菌の貪食像が見られ,変性した好中球はその後泡沫細胞に置き換わることが明らかになった.

 

23 Three-dimensional direction and interrelationship of prisms in cuspal and cervical enamel of dog tooth.

 

共著

 

1998年

平成10年11月

 

 

Anatomical Record

Vol. 252, no. 3

pp. 355〜368

 

著者 Hanaizumi Y, Kawano Y, Ohshima H, Hoshino M, Takeuchi K, Maeda T

歯頚部エナメル小柱と咬頭部エナメル小柱の走行ならびに規則性をエナメル芽細胞の動態と関連させて,イヌ形成期エナメル芽細胞の側方移動について検索した.エナメル芽細胞の側方移動はトームス突起の分泌面の方向に依存し,また小柱群の境界部では小柱群同士のすれ違いによる応力の関与が示唆された.

 

24 Cytochrome oxidase activity in the enamel organ during amelogenesis in rat incisors.

 

共著

 

1998年

平成10年12月

 

 

Anatomical Record

Vol. 252, no. 4

pp. 519〜531

 

著者 Ohshima H, Maeda T, Takano Y

30日齢ラット切歯の形成端から切縁までのエナメル器のCytochrome oxidase (CO)活性を検索した.成熟期乳頭層では,多数のミトコンドリアの殆どが成熟期を通してCO活性陽性を示し,エナメル質成熟化に際して乳頭層細胞がCaの能動輸送を始めとする一貫した活発な機能発現を行っている事が明らかとなった.

 

25 Postnatal expression of calretinin- immunoreactivity in periodontal Ruffini endings in the rat incisor: a comparison with protein gene product 9.5 (PGP 9.5)- immunoreactivity.

 

共著

 

1999年

平成11年 3月

 

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 62, no. 1

pp. 57〜69

 

著者 Asahito T, Ohshima H, Hanada K, Wakisaka S, Maeda T

 生後1日から80日までのラット切歯歯根膜のルフィニ神経終末の生後発育を,カルシウム結合蛋白カルレチニンならびに神経マーカーであるPGP9.5の抗体を用いて検索した.歯根膜ルフィニ神経終末は,切歯萌出期に出現し,切歯咬合開始期になると急激な数の増加と形態的成熟を示すが,カルレチニン陽性ルフィニ神経終末はそれより遅れて出現し,機能咬合期にその数と密度を増すことが明らかとなった.ルフィニ神経終末におけるカルレチニン発現は,機械受容機能に重要な役割を果たすことが示された.

 

26 The distribution and ultrastructure of class II MHC-positive cells in human dental pulp.

 

共著

 

1999年

平成11年 6月

 

 

Cell and Tissue Research

Vol. 295, no. 1

pp. 151〜158

 

著者 Ohshima H, Maeda T, Takano Y

 ヒト歯髄におけるクラスII MHC抗原陽性細胞の分布と微細構造を抗HLA-DR抗体を用いて検索した.歯髄周辺部の陽性細胞は主に象牙芽細胞下層に局在し,あるものは象牙前質中に位置し,複数の象牙芽細胞突起と接触していた.象牙芽細胞層ならびに象牙前質中のクラスII MHC抗原陽性細胞は,樹状細胞と考えられ,歯髄の免疫防御機構に加え,象牙芽細胞の恒常性に何らかの関与があることが推測された.

 

27 Developmental regulation and ultrastructure of glycogen deposits during murine tooth morphogenesis.

 

共著

 

1999年

平成11年 8月

 

 

Cell and Tissue Research

Vol. 297, no. 2

pp. 271〜281

 

著者 Ohshima H, Wartiovaara J, Thesleff I

 胎生11.5日齢から生後2日までのマウス第一臼歯歯胚形成におけるグリコーゲンの局在と微細構造をPAS染色と透過電顕を用いて検索した.歯小嚢細胞が多量のグリコーゲンを含有していること,成長因子を含む多くのシグナル分子が,グリコーゲンの存在しないエナメル結節と歯乳頭に発現していること,将来の骨形成部位に一致してグリコーゲン含有細胞が配置していること,エナメル器のグリコーゲンの分布と星状網の形成との相関があることが明らかとなった.

 

28 Immunocytochemical demonstration of heat shock protein 25 in the rat temporomandibular joint.

 

共著

 

1999年

平成11年12月

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 62, no. 5

pp. 483〜491

 

著者 Nozawa-Inoue K, Ohshima H, Kawano Y, Yamamoto H, Takagi R, Maeda T

 ラット顎関節における低分子熱ショック蛋白Hsp25の局在を共焦点レーザー顕微鏡,免疫電顕法を用いて検索した.滑膜表層細胞のうちB細胞がHsp25陽性を示すことが明らかとなり,その細胞突起は滑膜表層を覆っていた.これら陽性細胞は滑膜のバリアー機能,滑液の分泌と吸収に関与すると考えられた.また,関節軟骨,関節円板にもHsp25陽性細胞が存在し,アポトーシスの抑制との関与が伺われた.

 

29 Tissue response to titanium implants in the rat maxilla: ultrastructural and histochemical observations of the bone-titanium interface.

 

共著

 

2000年

平成12年 2月

 

Journal of Periodontology

Vol. 71, no. 2

pp. 287〜298

 

著者 Futami T, Fujii N, Ohnishi H, Taguchi N, Kusakari H, Ohshima H, Maeda T

 ラット上顎骨にチタンインプラントを埋入したモデルを用い,オッセオインテグレーションのメカニズムを酵素組織化学・透過電顕法を用いて検索した.インプラント体と既存骨のギャップが狭い部位では既存骨の吸収後新生骨が形成されたのに対し,ギャップが広い部位では骨吸収を伴わず新生骨の形成が見られた.オッセオインテグレーションの形成過程はインプラント体と既存骨の間のギャップにより規定されることが明らかとなった.

 

30 The development of terminal schwann cells associated with periodontal ruffini endings in the rat incisor ligament.

 

共著

 

2000年

平成12年 3月

 

Brain Research

Vol. 858, no. 1

pp. 167〜171

 

著者 Hayashi S, Nakakura-Ohshima K, Ohshima H, Noda T, Honma S, Wakisaka S, Maeda T

 ラット歯根膜の終末シュワン細胞の生後発育を非特異的コリンエステラーゼ酵素組織化学,抗S-100・抗PGP9.5抗体を用いた免疫組織化学により検索した.終末シュワン細胞の形態と分布は生後15〜18日に成熟ラットと相同になり,それに引き続きPGP9.5陽性神経の伸長と拡張が起こることを示し,終末シュワン細胞が歯根膜ルフィニ神経終末の発育と成熟に重要な役割を果たすことが明らかとなった.

 

31 Msx2 deficiency in mice causes pleiotropic defects in bone growth and ectodermal organ formation.

 

共著

 

2000年

平成12年 4月

 

Nature Genetics

Vol. 24, no. 4

pp. 391〜395

 

著者 Satokata I, Ma L, Ohshima H, Bei M, Woo I, Nishizawa K, Maeda T, Takano Y, Uchiyama M, Heaney S, Peters H, Tang Z, Maxson R, Maas R

 ホメオボックス遺伝子であるMsx2遺伝子欠損マウスに見られる形態・機能異常を検索し,Msx2遺伝子欠損が頭蓋の大泉門閉鎖不全を引き起こし,Msx2遺伝子が正常な骨形成に重要であることが明らかとなった.さらに,Msx2遺伝子欠損は歯牙・毛包・乳腺・小脳などの外胚葉性器官の発生異常を引き起こすことを示し,Msx2遺伝子が多様な器官形成に必須の遺伝子であることが明らかとなった.

 

32 Transient expression of heat shock protein (Hsp)25 in the dental pulp and enamel organ during odontogenesis in the rat incisor

 

共著

 

2000年

平成12月10月

 

Archives of Histology and Cytology

Vol. 63, no.4

pp. 381-395

 

著者 Ohshima H, Ajima H, Kawano Y, Nozawa-Inoue K, Wakisaka S, Maeda T.

 ラット切歯を用い,歯牙硬組織形成時のエナメル器・歯髄における低分子熱ショックタンパクHsp25の発現を検索した.象牙質形成において,象牙芽細胞は分化の進行と共にHsp25強陽性を示すようになったのに対し,歯髄間葉細胞は分化の進行と共にHsp25発現が減弱した.エナメル質形成において,エナメル芽細胞はHsp25陽性を示したが,成熟期においては,RAが細胞質全体にHsp25発現を示したのに対し,SAの遠位細胞質の反応が減弱した.また,エナメル芽細胞および象牙芽細胞におけるHsp25発現は,actin filamentsとほぼ同じ分布を示した.以上より,Hsp25発現は歯の形成過程における形成細胞移動時の細胞層の補強に関与すると共に,RAのruffled borderの形成と維持に関与することが示唆された.

 

33 Responses of immunocompetent cells in the dental pulp to replantation during the regeneration process in rat molars

 

共著

 

2000年

平成12月11月

 

Cell and Tissue Research

Vol. 302, no.2

pp. 221-233

 

著者 Shimizu, A, Nakakura-Ohshima, K, Noda, T, Maeda, T, Ohshima, H

 ラット臼歯再植後の歯髄再生過程における免疫担当細胞・神経の動態をOX6,ED1,PGP 9.5抗体を用いた免疫細胞化学およびPAS反応を用いて検索した.歯牙再植により歯髄におけるOX6,ED1陽性細胞の数・免疫活性が増加したが,術後3日になると,歯髄・象牙境にOX6,ED1陽性細胞が集積し,細胞突起を象牙細管中に侵入させていたが,修復象牙質形成が開始すると象牙芽細胞層下に移動した.このことは当該細胞の歯髄初期免疫応答に加え,象牙芽細胞分化への関与が伺われた.術後14日になると歯髄治癒過程は修復象牙質形成,骨様組織形成,両者の混在型に分けられたが,PAS陽性歯小嚢由来細胞の歯髄内への遊走と歯髄細胞の死滅が歯髄内骨様組織形成の誘因と考えられた.

(その他)

 

 

 

 

1 窩洞形成による歯髄反応についての最近の知見

共著

1989年

平成元年12月

新潟歯学会雑誌

19巻 2号

177 頁

著者 大島勇人,佐藤 修

 窩洞形成後の歯髄反応について,窩洞形成に対する歯髄反応を規定する重要な因子である,血管系および神経系の動態についての最新の知見について報告したもの.ラット上顎第一臼歯を用いた窩洞形成モデルでは,術後1日で象牙芽細胞の変性,3日で新しく分化した象牙芽細胞が歯髄.象牙境に再配列するが,この時期に一致して歯髄神経および血管網はその密度を増す.窩洞形成後の傷害を受けた部位が修復される際の新しい象牙芽細胞の分化,及びその機能に血管,神経が深く関わっていることを示した.

 

2 歯髄の免疫防御機構に関する最近の知見

 

単著

 

1994年

平成 6年12月

 

新潟歯学会雑誌

24巻 2号

244 頁

 

 窩洞形成後の歯髄における抗原提示細胞の動態について最新の知見を報告したもの.窩洞形成後12時間後にクラスII MHC抗原陽性細胞が象牙芽細胞の変性に引き続き歯髄・象牙質境に集まり,空の象牙細管に深く突起を侵入させることを示し,歯髄抗原提示細胞が露出した象牙細管経由の外来刺激に対する歯髄防衛の最前線におけるセンサー細胞として機能していることを示した.

 

3 窩洞形成後の歯髄反応に関する最近の話題−歯髄における抗原提示細胞の役割−

 

単著

 

1995年

平成 7年 4月

 

新歯界

519号

30 頁

 

 窩洞形成後の歯髄再生過程における抗原提示細胞の役割について述べたもの.窩洞形成後6時間後に傷害を受けた象牙芽細胞の変性,12-24時間後にクラスII MHC抗原陽性細胞の歯髄・象牙質境への集積,72時間後に新たに分化した象牙芽細胞下への陽性細胞の後退を示し,歯髄抗原提示細胞が外来刺激に対するセンサー細胞として機能していることに加え,歯髄の再生過程にも関与している可能性を述べた.

 

4 象牙芽細胞〜発生と窩洞形成後の変化〜

 

共著

 

1995年

平成 7年 11月

 

デンタルダイアモンド

20巻14号

44〜46 頁

 

著者 大島勇人,前田健康

 象牙質形成過程における象牙芽細胞の特徴,窩洞形成に対する象牙芽細胞の反応について述べたもの.象牙芽細胞の形態,細胞の極性,細胞内小器官の発達程度は,発生の過程で大きく変化する.外套象牙質形成時の未熟な象牙芽細胞から多列様の配列をとる成熟した象牙芽細胞,そして象牙質形成が終了すると不活性な象牙芽細胞となる.また,窩洞形成後におこるダイナミックな歯髄反応についても示した.

 

5 窩洞形成と歯髄

 

共著

 

1996年

平成 8年 3月

 

日本歯科医師会雑誌

48巻12号

21〜30 頁

 

著者 大島勇人,前田健康

免疫細胞化学的ならびに電子顕微鏡的所見をもとに,歯髄の免疫系を担うと考えられる抗原提示細胞,互いに密接な関連をもつことが示されている歯髄血管と歯髄神経についての基本概念を解説するとともに,窩洞形成刺激に対するこれらの要素の動態について解説した総説.

 

6 Responses of class II MHC antigen- expressing cells to cavity preparation.

 

共著

 

1996年

平成 8年 7月

 

Dentin Pulp Complex: Proceeding of the International Conference on Dentin Pulp Complex 1995

pp. 316〜318

 

著者 Ohshima H, Takano Y, Sato O, Kawahara I, Maeda T

窩洞形成に対するヒト歯髄の組織変化とクラスII MHC抗原陽性細胞の動態を免疫電顕的に検索し,ラットを用いた実験結果と比較した.ヒトでは,窩洞形成24時間後には多数の好中球が露出した象牙細管中に侵入しており,クラスII抗原陽性細胞の反応がラットの場合に比し遅いことが推測された.

 

7 歯と歯周組織の発生と構造

 

共著

 

1997年

平成 9年 9月

 

クインテッセンス

16巻 9号

74〜96 頁

 

著者 前田健康,大島勇人,月星光博

 歯内療法学の基礎となる歯と歯周組織の発生と構造について歯科臨床家向けに易しく述べた解説.歯の発生,歯胚の成長・発育,歯胚の形態形成の分子生物学的メカニズム,硬組織の形成,歯周組織の発生,エナメル質・象牙質・歯髄・歯根膜の構造に分けてカラー図譜・写真を織り交ぜて解説した.

 

8 エナメル結節の再発見

 

共著

 

1999年

平成11年 5月

 

歯界展望

93巻 5号

1176〜1177 頁

 

著者 大島勇人,前田健康

 歯の形態発生は,上皮間葉相互作用により時間的・空間的な細胞の増殖と分化の正確な調節を受けている.近年,エナメル結節が歯の形態発生のシグナルセンターとして働いているという仮説が提唱されているが,エナメル結節の概念の歴史的変遷,近年の分子生物学的手法により明らかになったエナメル結節におけるシグナル活性について概説した.

 

9 歯の発生におけるグリコーゲンの機能的意義

 

単著

 

1999年

平成11年12月

 

新潟歯学会雑誌

29巻 2号

185〜186 頁

 

 近年の分子生物学的研究により飛躍的な進歩をとげた歯の発生の研究において,過去25年間全く注目されなかったグリコーゲンの機能的意義を概説したもの.グリコーゲンの存在は,歯の形態発生に関係するシグナル活性,骨形成,エナメル器での星状網形成,果ては神経支配にまで関与する可能性が示された.

 

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