実施状況

FDワークショップ「学位論文作成を効果的に進めるためのWBS入門―プロセスの可視化を通して指導教員・大学院生双方の満足度を高める―」開催報告

平成22年5月22日(土)9:00~12:00 、歯学部大会議室において、大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)事業の一環として、愛媛大学学生支援機構・教育企画室・副室長である佐藤浩章先生、NPO法人アジアフィルムネットワーク事務局長 泉谷 昇先生をお招きし「学位論文作成を効果的に進めるためのWBS入門―プロセスの可視化を通して指導教員・大学院生双方の満足度を高める―」と題してFDワークショップが開催された。当日の参加者は、19名(希望者のみ)であった。

冒頭、佐藤先生から前日の講演会についての内容確認が行われた後、泉谷先生がプロジェクトトマネジメント概論について説明された。プロジェクトの遂行にあたっては、<プロジェクトを知る>ことに始まり、計画、準備、実行、終結の4段階に分けられ、時間経過に伴うリスクとタスクの変化を含む<プロジェクトのライフサイクル>を知り、プロジェクトの目的を、「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、誰のために(for Whom)、なぜ(Why)、どの程度まで(How for)、いくらで(How much)、何をどうするのか(What & How)」からなる6W3Hで共有する必要があるとのことであった。

続いて、WBS(Work break Down Structure)は、プロジェクト遂行の全体像を把握するのに有用な手段で、

原則、「1.計画、2.準備、3.実行、4.終結」の4段階から成り立っていることを説明された後、学位論文執筆を想定して作成、配布されたWBSをもとに、実際学位論文指導に使用すると仮定した場合における内容項目の修正と指導時期の記入を参加者各自に行っていただいた。各自の記入結果をもとにWBSの有効性と問題点についてグループディスカッションを行った。その後、全体討論を行い、WBSは遂行状況を可視化できるという利点をもつ一方で、実験と結果の検索が主体となる理系(医療系)の学位論文作成過程に相応しくない部分があるとの指摘や、実際に活用していく場合には、各分野での指導体制の違いにも配慮し、指導教員、大学院生間で実情に即した改訂版を作成していくのが望ましいとの意見が出された。最後に、企画立案シート(改善リソースのバームクーヘン)を用いた問題解決技法についても説明がなされた。

今回のWSは、大学院生に対する学位論文作成指導を行うにあたってのスケジュールの立案や、学生に応じた対応方法などについて改めて考えるよい機会になったものと思われる。