実施状況

FD講演会「マスコミから見た歯科医療」開催報告

平成21年6月24日(水)17:00~18:40、歯学部講堂において、大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)事業の一環として、読売新聞東京本社編集委員・前野一雄氏をお招きし「マスコミから見た歯科医療」と題してFD講演会が開催された。当日の参加者は、教職員、大学院生併せて100名を超えた。

近年、大学は社会からの要請に応えるべく活動していくことが重要との認識がある。大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻では、生命科学や技術の著しい進歩、21世紀の医療課題と多様化するニーズに対応するため、先端的生命科学についての教育・研究に重点を置き、地域社会と世界の医療に貢献することを理念としている。そこで今回は、全国紙である読売新聞において長年医療に係わる分野で編集を担当し、歯学教育の改善・充実に向けた調査研究協力者会議の委員でもある前野氏を招聘し、社会に対する情報提供媒体として影響力をもつマスコミが歯科医療の現況と将来像をどのように見ているかについて講演いただき、教員あるいは将来の教員候補である大学院生とともに議論できればとの意図からFDを企画した。

講演では、はじめに読売新聞が17年間掲載している「医療ルネサンス」をとおして行ってきた医療に対する提言などの概要の説明があった。続いて、歯科医療の現状、将来像、国民の期待などについてお話しされ、医療サイドの問題点についても指摘された。また、昨今問題視されている歯科医師過剰問題について、OECD加盟国との比較あるいは一部歯学部・歯科大学の定員割れの実状を提示しながら言及し、果たして本当に過剰なのかどうかについて考察された。

さらに前野氏は、これまで医療に関わる報道に携わってきた経験から、国民は歯科医療に対して大きな関心をもっていることは明かであると述べた。その上で、これまでの慣例にとらわれない歯学教育、歯科診療を展開し、かつより一層の情報公開を促進させることで、患者(国民)の歯科医療に対する認識あるいは歯科医師との関係は大きく変化していくであろうとの見解を示された。

写真1 これまでの取材経験を元に、熱心に講演された前野氏

写真2 教員、大学院生併せて100名を超える参加者を得て開催された