大学院教育開発センター

口腔生命福祉学専攻(教授 福島正義)

過去7年間の学位論文発表状況

  学位論文の対象 単著
共著
発行の年月
発表雑誌名

発表者氏名
1 Effect of overglazed and polished surface finishes on the compressive fracture strenght of machinable ceramic materials 共著 2010
Dental Material Journal
29(6)
611-667
Asai T,
Kazama R,
Fukushima M,
Okiji T
2 三年制歯科衛生士教育における臨床実習の実質化 第1報 歯科衛生士インストラクター導入と基礎教育の改善効果 共著 2010
日衛学誌
4(2)
66~73
頭山高子、
隅田好美、
田中照代、
福島正義、
末瀬一彦
3 三年制歯科衛生士教育における臨床実習の実質化 第2報 歯科衛生士インストラクターによるマンツーマン指導の効果 共著 2010
日衛学誌
5(1)
46~56
頭山高子、
隅田好美、
筒井 睦、
田中照代、
福島正義、
末瀬一彦
4 三年制歯科衛生士教育における臨床実習の実質化 第3報 卒業後にみられるDHCI実習の教育効果 共著 2011
日衛学誌
5(2)
53~63
頭山高子、
隅田好美、
田中照代、
福島正義、
末瀬一彦
5 歯の変色が患者の心理に与える影響 ―第1報 変色歯外来初診時アンケートの集計― 共著 2011
歯科審美
23(2)
92~98
大橋乃梨子、
福島正義
6 病棟看護師の口腔ケアに対する認識―病棟の特性および臨床経験年数別の比較 共著 2012
老年歯科医学
27(2)
87~96
横塚あゆ子、
隅田好美、
日山邦枝、
福島正義

過去7年間の科学研究費補助金・各種研究助成金の採択状況
(2006~2012:研究代表者のみ)

  年度 研究費名称 研究期間 研究課題名
1 2008~2011 基盤研究(C) 2008~2011 後期高齢者の多発性根面う蝕に対するフッ化ジアンミン銀による薬物療法
2 2006 寄付金 2006 歯科用材料の基礎的・臨床的評価に関する研究助成
3 2009 寄付金 2009 歯科用材料の基礎的・臨床的評価に関する研究助成
4 2010 寄付金 2010 歯科用材料の基礎的・臨床的評価に関する研究助成
5 2011 寄附金 2011 歯科用材料の基礎的・臨床評価の関する研究助成
6 2011 寄附金 2011 口腔保健学講座に関する研究助成のため

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日本学術研究会特別研究員など採択状況

採用種目 採用期間 氏名
なし なし なし

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大学院教育指導方針および研究テーマ

大学院教育指導方針
  • 私がこれまで行ってきた研究分野はう蝕学、歯科材料学、歯科審美学、老年歯科医学および歯科医学教育領域にお及びます。またそれぞれの分野で自然科学と社会科学の両面からアプローチしてきました。
  • わが国では1970年代後半に世界に先駆けて開発された高分子系接着材料とう蝕検知液を指標にした無痛的う蝕除去法ならびに健全歯質の保存による無刺激性窩洞形成法による接着修復の概念がこの30年間で確立され、"悪いところだけ取って、元の白い歯に直す。しかも痛くなく…"という人々のう蝕治療に対する願いがほぼ実現しました。私の学位論文ではう蝕検知液の染色性と細菌感染層との関係およびう蝕象牙質内へのレジンボンディング剤の浸入様相からう蝕除去の臨床指標を明らかにしました。この指標は2009年に日本歯科保存学会から出されたう蝕治療ガイドラインに掲載されました。さらに接着性コンポジットレジンの材料学的研究を行うとともに臼歯用コンポジットレジンの長期耐久性に関する臨床研究を10年以上にわたって行いました。その間には口腔内修復物の寿命について臨床疫学的検討も行いました。わが国ではう蝕に対しては早期発見・早期治療の第2次予防に主眼がおかれてきましたが、たとえ早期に治療されても新生う蝕、2次う蝕、歯髄傷害、根尖病巣、破折、脱落などのために再治療が必要になっている場合が多い。したがって、う蝕治療を医学的効果と経済的効果の両面からとらえる必要性から歯冠修復物の再治療とそれに要した治療費についての実態調査を行いました。この調査を通じて、繰り返し治療の抑制には子供時代からの歯冠部う蝕の予防、継続的口腔衛生管理、歯科治療の質的向上、う蝕リスク診断に基づく治療・再治療の決定基準の確立などが重要な要因であることが明らかとなり、今後の研究の指針が得られました。なかでも学童期における早期う蝕罹患は生涯の口腔機能に大きな影響を与えるために、その予防はとくに重要です。我々は20年間にわたって無歯科医地域であった離島過疎地の公立歯科診療所の運営を支援し歯科医療レベルを都市部並に向上させました。さらに学校医を務める小中学校において10年間の集団フッ素洗口プログラムによって、学童のう蝕罹患率を欧米先進国のレベルまで下げることもできました。このような取り組みによりう蝕抑制効果の確認と共にう蝕の軽症化、1人当たりの歯科治療費の減少、歯科治療内容がう蝕中心から歯肉炎中心へと移行して歯科衛生士の役割が増してきたこと、CO(要観察歯)におけるエナメル質初期脱灰に対する集団的対応としてフッ素洗口が有望であることなどを認めました。今後も臨床研究を通じて予防とメインテナンスの重要性を証明していきたいと考えています。さらに現在では高齢者の根面う蝕の予防、進行抑制および修復法について検討を行っています。
  • 歯科審美分野では1987年から変色歯に対する治療の基礎的・臨床的研究を積み重ね、1995年には歯の変色を主訴とする患者さんのためにカウンセリングと治療を行う国内初の専門外来を開設しました。特に前歯部の審美性は顔貌の調和に大きく影響しますが、前歯部審美性評価による疫学調査ではう蝕や歯周病などの口腔疾患によって自然美が大きく損われていることが明確となりました。現在、変色歯外来患者の臨床統計、青年期ウ蝕非罹患者の前歯部審美性評価、テトラサイクリン変色歯の疫学調査、変色歯に対するラミネートベニア修復物の長期的臨床経過、正中離開の実態と治療決断に関する研究に取り組んでいます。また、歯冠修復における脱メタルをめざして接着性コンポジットレジンとセラミックを組み合わせたCAD/CAMによるオールセラミック修復法に関する基礎的・臨床的研究を続行中です。これらの成果により2001年に厚労省から先進医療に認定され、CAD/CAM外来を開設しました。
  • わが国では人口の高齢化に伴い、歯牙の長寿化と顎口腔機能の維持の意義を広く国民に理解させ、その実現をはかるために8020運動が官民一体となって展開されています。各方面でその科学的根拠となるデータの収集が行なわれており、私も8020の意義を咬合力の維持の観点から調査を行いました。また、高齢化に伴う口腔疾患構造変化の1つとして根面う蝕の増加が懸念されている。我々の根面う蝕の疫学データによれば第1次ベビーブ−マ−が65歳の前期老人となる頃がわが国での根面う蝕が最も多くなる時期と推測され、その診断、予防と治療法の確立が急務です。現在、ハイリスク患者の根面う蝕に対するフッ素徐放性修復材料の有効性について研究を行っています。また、高齢化の進展とともに介護を要する高齢者も急増し、寝たきり、認知症および虚弱を合わせた要介護高齢者の数は2025年には520万人に達すると見込まれています。これらの高齢者は基礎疾患をもちながら、それに加えて全身の運動・生理・免疫機能等の低下により、薬剤耐性菌や常在菌等の感染症にかかりやすい状態にあり、口腔常在菌は口腔と直結している消化器系や呼吸器系をはじめとして、歯周ポケットや根尖病変などから血行性に他臓器へ影響を与えるといわれています。したがって、要介護高齢者における口腔内細菌のコントロールは単にう蝕や歯周病の予防だけでなく、全身疾患の予防として極めて重要です。介護予防として身近な介助者が特別な専門知識技術がなくても毎日実施できる口腔ケア法とその評価法を歯科から提示する必要があるために、要介護高齢者の生活状態に応じた口腔ケアの効果的な方法を検討し、その効果を細菌学的手法で科学的に検証しています。
  • 歯科医学教育分野では国際共同研究として日本における臼歯用コンポジットレジン、オールセラミック修復およびカリオロジーの教育実態の調査に協力しました。こうした調査は日本の教育事情を世界レベルで比較するまたとない機会であり、教育カリキュラムを立案する上で参考になります。現在は歯科衛生士教育に従事している関係から歯科衛生士の臨床実習の実質化に関する検討を行っています。
研究テーマ
  • 接着性歯冠色修復材料の材料学的および臨床的研究
  • 変色歯の審美的改善に関する臨床的研究
  • 要介護者の口腔ケアに関する研究
  • 歯科衛生士臨床教育および臨床研修に関する研究
  • 高齢者の多発性根面う蝕の予防と治療に関する研究

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