総論「睡眠呼吸障害とその問題点」

新潟大学医学部第2内科 佐藤 誠

睡眠呼吸障害は多くの病態を含んでいるが、睡眠時に上気道が狭窄したり閉塞するために生じる、いびき、上気道抵抗症候群、閉塞型睡眠時無呼吸症候群が主な症状および疾患である。これらは、人類が起立歩行と言語を獲得したことに付随して、臥位で睡眠することが可能になったために生じたと思われる病態で、人類以外の哺乳類ではきわめて稀である。欧米と比較して、日本では睡眠呼吸障害の疾患としての認識は、一般市民はもちろん、医療関係者においても低いのが現状である。これは、本障害が高度な肥満者に多い疾患と認識され、欧米人に比して極端な肥満の少ない日本人では、有病率は低いと考えられているためと思われる。しかしながら、顔面骨格の人種的差異などによる口腔咽頭腔の機能的、構造的異常が関与するため、本邦における睡眠呼吸障害の有病率は決して低くはない。これらの睡眠呼吸障害の臨床的問題点は、夜間の睡眠の質が低下するため日中傾眠が生じ、重症度が増すと、アルコールを飲用した正常者よりも、注意力の散漫、欠如を招き、小児では不登校や学力低下、成人では交通事故を含めた事故の多発の一因になり、日常業務などの社会生活が困難になる。また、日内リズムの破綻によりホルモンの分泌異常が生じ、小児では成長を障害したり、成人では本態性高血圧症、糖尿病などの生活習慣病を高率に合併し、脳・血管障害を発生する頻度が高くなる。
 本障害は睡眠中の事象であるため、時間的にも人的にも臨床研究が難しく、臥位で睡眠できない動物では実験モデルを作ることも困難なため、そのメカニズムには未解明な点も多い。本シンポジウムでは、これまで明らかになった睡眠呼吸障害の病態について概説し、ホルモン分泌異常や生活習慣病との相互関係についても解説する。

略歴

昭和57年3月  新潟大学医学部卒業
昭和60年5月 新潟大学医学部第2内科研修医
昭和62年9月 東北大学医学部第1内科研究生
平成元年11月 新潟大学医学部第2内科医員
平成4年7月  新潟大学医学部第2内科助手
平成8年7月 University of Wisconsin-Madison留学(2年間)
平成10年7月  新潟大学医学部第2内科復職
 
医学博士
日本内科学会認定医
日本内科学会認定専門医
日本胸部疾患学会認定医


  1. 睡眠時無呼吸症候群とその問題点:佐藤誠(新潟大学第二内科)
  2. 新潟大学「いびき外来」の現況と診断技術河野正己(新潟大学第一口腔外科)
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