シンポジウム「睡眠時無呼吸症候群の診断と治療」

新潟大学歯学部第1口腔外科 河野正己

いびき外来には,睡眠中の激しいいびきの間に長く息が止まった状態があることを家族や友人に指摘されて受診する患者がいる.このような患者の多くは熟眠感がなく,昼間の眠気が強くて会議中や運転中にも眠ってしまい,仕事上のミスや交通事故を繰り返していることがある.その主な原因は,睡眠中に上気道が閉塞して窒息(無呼吸)を生じ,その度に睡眠が分断され有効な睡眠時間が得れないため睡眠不足になるためである.
 このような睡眠中に呼吸障害を生じる疾患が,わが国の成人男性の3.28%,女性の0.5%が罹患している「睡眠時無呼吸症候群」である.現在,この疾患の有病者に対し専門の治療施設が少ないため,適切な診断や治療がなされないまま放置されている患者も少なくないと考えられる.
 睡眠時無呼吸症候群は,顎顔面骨格と軟口蓋や舌といった口腔の臓器が気道障害の原因となっていることが多く,また,放置すればさまざまな生活習慣病を引き起こすこともあることから,まさに歯学と医学がオーバーラップした疾患であるといえる.この疾患を通して,歯学の視点を歯や口腔といった局所の健康維持から口腔を介した全身の健康維持に転換できれば,新しい「21世紀の歯学」が誕生するのではないかと思う.
 このシンポジウムは,総論にて睡眠時無呼吸症候群の理解を深め,その後に実践に則した各論を展開する予定である.このシンポジウムにて,ひとりでも多くの歯科医がこの疾患の診療に参画してくれることを期待したい.


  1. 睡眠時無呼吸症候群とその問題点:佐藤誠(新潟大学第二内科)
  2. 新潟大学「いびき外来」の現況と診断技術河野正己(新潟大学第一口腔外科)
  3. 可撤性口腔内装置による治療小林 博(新潟大学第一補綴)
  4. 外科的治療河野正己(新潟大学第一口腔外科)

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