|在宅療養でのの問題点|口腔ケアの現状おいしく安全に食べるために介護認定審査会の現状

 

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3.自宅で介護を継続すること

 歯科に限らず、もともと施設内で業務をしてきた医療技術職が、利用者の自宅に出向いての活動をはじめた時期にひっかかりを感じるのが、「漫然と同じことを続けるだけで良いのか、訪問回数も少なくて効果がないのではないか」ということのようだ。しかしそんなことはないのだと理解して欲しい。自宅で介護を受ける時期は慢性期である事が多く、障害等が急激に回復することはまれである。しかも介護自身が自分の生活を維持しながら、介護する時間をつむぎだしている状態なので、施設内で専門職が行うのと違って、全力を注いで行えるわけではない。効果が見えるのには時間がかかり、それが年単位のこともある。
 たとえば寝たきりになって8年たつDさんの場合、嚥下障害が強く、喀痰の吸引も必要、毎年肺炎を起しては入院していた。残った歯は汚れ、上顎に痰がこびりついていることも多い。退院当初では綿棒で口腔内を拭いていたがいていたが、こびりついた汚れはきれいにならず、歯ブラシを使用することにした。要介護度5で意識のないのDさんは介護量が多く、声をかけても口をあけてはくれないので、介護者は口腔ケアを毎日はできないでいた。しかし訪問で口腔ケアを週一回続けていくうちに、介護者も徐々に慣れ、そのうちに毎日口腔ケアをできるようになり、気がつくとDさんはもう3年も肺炎を起さずに過ごしている。
 在宅療養で介護指導を行うのは、それが生活の一部になるほど、継続することが必要、そして介護者や家族の力を信じ、伸ばす工夫も必要だ。たとえば家族が、口腔ケアをめんどうだと感じ、やめたくなっているとき、歯科衛生士が訪問して、いつも通りにケアをして、介護者に「いつもよくやっていますね」とほめてくれると、それで介護者はまた続けようという気持ちになり、その繰り返しで、介護を続けていける介護者もいるのである。一見漫然と過ごしている様に見えるくりかえし、継続する事が在宅介護ではとても重要なのである。

 

 

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