要介護者等歯科保健推進事業申込(同意)書口腔ケアアセスメント票口腔ケア指導申込書
口腔指導表の記載例|デイサービスにおける口腔ケア指導について|

 

1  >  2

 

●口腔ケア指導事業に関するQ&A

Q1: 口腔ケアの指導はどのような内容になりますか。
A1:  まず、基本的な口腔ケアは、健常者が日常行っている歯磨きなどとほぼ同じ内容になりますので、それほど難しいことではないことをご理解下さい。
 具体的な内容については、要領に記されていますが、ブラッシング(歯磨き)、舌の清掃、洗口、義歯の清掃及びリラクセーション(顔面体操、舌体操、首や肩の運動、発声練習等)、が中心になります。具体的には「お口のお手入れの手引き」に分かりやすくまとめてありますので、ご参照下さい。
Q2: これまでに事業を活用したデイサービスは、どのように実践な指導をしてもらいましたか。
A2:   現場では、各担当歯科医師が、要介護者の状態、デイサービス職員、ケアマネジャーの口腔ケアに関する知識等によって、様々なパターンの実践指導を行っています。ここでは、これまでの事例を紹介します。
  担当職員が要介護者の口腔観察や口腔ケアを適切に介助できるように、歯科医師、歯科衛生士が以下の指導を行います。   
 (1) 初めてこの事業を受けられるデイサービス職員には、職員自身の口腔ケア指導を行います。これによって、職員は今まで気づかなかった歯科保健用具の使い方や痛くない力の入れ方等を実際に体験することができます。
 (2) その後、歯科医師、歯科衛生士が要介護者の口腔ケアのデモンストレーションを行い、職員による要介護者への口腔ケアの介助を実際に見て指導します。
Q3:  デイサービスは、この事業を年に何回でも活用できるのですか。
A3:   デイサービスにおける口腔ケア指導は、在宅寝たきり者・在宅重度障害者歯科保健推進事業の一環として実施され、デイサービスにおける口腔ケアと居宅訪問による歯科健診を合わせて、新潟県から約1000人分の事業を受託しています。
 デイサービスが異なる要介護者を対象とするとき、この受託人数内であれば、年に複数回活用することができます。事業への申込状況は2ヶ月に1回全県の合計が把握されていますので、申込が既に受託量に達したときには、次年度に延期せざる を得なくなる場合もあり得ます。
Q4: 1人の要介護者について年1回の口腔ケア指導となると、適切な口腔ケアを定着できるのでしょうか。1人につき複数回の指導をお願いしたいのですが。
A4:   要介護者が年々増加していること、県の事業は特定の方だけではなく、できるだけ多くの方々に利用してもらうことが趣旨であるため、1人の要介護者について年1回の口腔ケア指導となっています。
 しかし、担当歯科医師との了解が有れば、運用上、2回に分けて訪問指導を受けることも可能です。
 この事業は、1人の対象者について、歯科医師と歯科衛生士各1名の報償費が計上されています。口腔ケアの定着を図るため、たとえば、初回は歯科医師による訪問歯科健診、口腔個別援助計画の助言、口腔ケアの実践指導を受け、後日、歯科衛生士による訪問指導を受けることも可能となります(図3)。このような形で事業を希望される場合には、担当歯科医と予め相談し、了解を得て下さい。

図3 歯科医師の指導後、別の日に歯科衛生士の訪問指導を希望する場合

Q5:  要介護者を担当している職員が指導を受けることはよいことと思いますが、デイサービスの全職員が口腔ケアについて共通認識を持つために、研修等を行ってもらえないでしょうか。
A5:  デイサービスの全職員が口腔ケアについて共通認識を持つことは大切なことだと思いますが、この事業は要介護者の個別の状態に応じて指導を行うこととなっており、現在のところ、職員全体の研修まではこの事業で対応できないのが現状です。
 もし、全職員の研修等が必要であれば、(財)新潟県歯科保健協会宛に「要介護者のための口腔ケア研修会」(申込書)をお申し込み下さい。
 新潟県歯科保健協会は、 新潟県歯科医師会、県、市町村等が出資している財団法人で、設立以来20年に渡り、県内全域で市町村事業や学校、諸施設、職域等で口腔ケアを含む歯の健康教育を担ってきた実績があり、ご利用いただいた方々から高い評価と信頼をいただいています。
Q6:  新潟県歯科医師会は、全国の歯科医師会の中でも訪問歯科診療に力を入れていると聞いていますが、デイサービスにおいて訪問診療も実施してもらえるのでしょうか。
A6:   残念ながら、現行の制度上、デイサービスにおいては訪問歯科診療は行うことができません。しかし、要介護者は歯科診療が必要であるにも関わらず、長年、診療が行われないで放置されている例が非常に多いのが現状です。
 県から受託している在宅要介護者等歯科保健推進事業では、このような診療が行われないで放置されている方々に訪問による歯科健診を行うことによって歯科医師が必要な医療を判断してきました。多くの場合、この歯科健診を契機として、訪問歯科診療が行われており、歯や口の状態だけでなく、全身の状態にも良い影響を与え、本人及びご家族の方々から非常に喜ばれてきた実績があります。
 デイサービスにおける口腔ケアの事業を受けて治療が必要と診断された方々には、デイサービス職員やケアネージャーの方々からも、本人・ご家族・介護者に治療を受けるよう助言をお願いします。診療は居宅における訪問歯科診療または歯科診療所等での診療で対応できます。
Q7:  デイサービスで口腔ケアを実施することで職員の負担が増えませんか。
A7:   口腔ケアを実践した当初には、職員がまだ慣れていないこと等もあり、一時的にはある程度の負担になることも考えられます。しかし、口腔ケアを実践した県内外の多くの施設では、誤嚥性肺炎の予防や発熱の減少、食欲の昂進、さらにはデリケートな場所である口腔に接することによって要介護者との間に信頼感が生まれ生き生きとしてくることなどから、QOL(生活の質)が向上するだけでなく、長い目で見れば介護の負担が軽くなったという意見も多く寄せられています。
Q8: デイサービスだけで口腔ケアを実施しても、居宅で実施されなければ、あまり効果は期待できないのではないでしょうか。
A8:   ご指摘のように、口腔ケアはデイサービスだけでなく、居宅にも普及することが望ましいと考えられます。しかし、いわゆる「老々介護」が増えていることなど、様々な理由により、家族・介護者は、まだ、口腔ケアを実践するまで意識が高まっていないのが現状だと思います。
 この事業はこうした課題を解決するため、介護の要となるデイサービス職員やケアマネジャーの方々から口腔ケアを実践してもらい、地域や居宅で少しずつ口腔ケアの輪を広げるために立ち上げられました。
 なお、居宅において口腔ケアを定着するには、この事業を契機として、ケアプランに口腔ケアを位置づけたり、歯科医師・歯科衛生士による居宅療養管理指導やヘルパーによる介助を促進したりすることが大切であると考えられます。
Q9:  口腔ケア指導の時に、デイサービス職員やケアマネジャーが指導内容を聞き取って、口腔ケア指導表を作成するということですが、専門的な内容になると適切に記載できるか心配なのですが。
A9:  デイサービス職員やケアマネジャーが初めて口腔ケアの指導を受けられる場合には、まだ慣れておらず、口腔ケア指導表への聞き書きが困難なこともある思います。このような場合には、担当歯科医師と相談して、当日は、まず、助言内容を理解することを優先して下さい。後日、ケアマネジャーが担当歯科医を訪問したり、担当歯科医に電話をして書きとるなど、臨機応変に口腔ケア指導表を作成していただくことが大切と考えられます。
 

 

Copyright(c)2003 新潟県歯科医師会