「舌癌深達度エコー評価基準の策定」の研究に関するご説明

研究課題名:舌癌深達度エコー評価基準の策定
主任研究者:林 孝文 教授
所属:新潟大学大学院医歯学総合研究科・顎顔面放射線学分野
実施施設:新潟大学
協力施設:東京医科歯科大学、岡山大学、九州大学、昭和大学、愛知学院大学、福岡歯科大学、久留米大学、自治医科大学、埼玉県立がんセンター、群馬県立がんセンター(順不同)

1.研究目的について

舌がんでは、がんの浸潤の程度が進行するほど、頸部リンパ節転移の頻度が高くなり、治療成績が低下することが知られています。
がんの浸潤の程度を正確かつ客観的に診断して、リンパ節転移のリスクを予測するのに最適な基準となる数値に基づいて、最適な治療法につなげる必要があります。
この浸潤の程度の診断には舌エコーが適することが、「口腔癌取扱い規約」に示されています。
舌エコーとは舌がんを通常のエコー装置を用いて検査することをいいますが、その方法として、エコーのプローブ(探触子ともいいます)を感染防止用のカバーを介して直接あてる方法と、高分子材料のクッションやエコーゼリーなどを間にはさんで検査する方法の大きく分けて二通りが行われています。
これらの検査方法によってがんの浸潤の程度の計測に多少の差が出る可能性がありますが、その影響については現在わかってはいません。
この研究の目的は、単独の施設では十分な症例数が確保できないことから、複数の施設から提出されたデータに基づいて、リンパ節転移予測のための舌エコーにおける最適な基準値を検討するとともに、検査方法による影響を明らかにすることにあります。

2.研究方法について

研究の対象は、過去5年間(2007年1月〜2011年12月)に各協力施設で舌エコーを施行し、その後に外科療法(切除術)が行われた、舌がん(T1・T2の扁平上皮癌)の患者さんのデータです。
データは匿名化して収集しますので、とりまとめの施設では患者さんの個人情報は一切わかりません。
すでに各協力施設で診療の際に得られたデータに基づいた研究ですので、患者さんから同意を得ることは不要とされておりますが、研究の目的や方法、研究施設名や連絡先をホームページに明示することとしております。
各協力施設で施行された舌エコーのデータを新潟大学で収集し解析を行います。
施設により計測方法に相違がありますので、舌がんの最も厚い部分の表層部から最深部までの距離を計測していた場合は「厚み」とし、周囲の正常粘膜表面どうしを結んだ線(仮想粘膜表面といいます)からがんの最深部までの距離を計測していた場合は「深さ」として評価します。
また、対象となった患者さんのリンパ節転移について、頸部郭清術が行われて転移リンパ節が確認された場合は「転移陽性」とし、頸部郭清術で転移リンパ節が認められなかった場合や、1年6か月以上の経過観察で転移が出現していない場合は「転移陰性」として評価します。
エコー画像そのものや、病理標本など、患者さんの個人情報に関わる資料の提出は求めません。
この研究に参加することにより患者さんに生じると思われる利益や不利益につきましては、各協力施設で以前に検査で得られたデータ(既存資料)のみを用いる研究のため、特段ございません。
研究終了後には、研究結果を日本口腔腫瘍学会などで発表させていただきますが、各協力施設から提出いただいたデータについては、速やかに個人情報の漏洩がない状態で破棄することとしております。
各協力施設のデータは外部への漏洩が生じないよう細心の注意を払い、患者さんの個人情報に関する内容は一切外部に公表いたしません。
なお本研究では、特定の営利企業等からの献金等はなく、利害衝突の可能性はありません。

本研究の問合せ・苦情等の連絡先(本ページに関する問い合わせ先):

〒951-8514
新潟市中央区学校町通2-5274
新潟大学大学院医歯学総合研究科
顎顔面放射線学分野
教授 林 孝文(主任研究者)
電話:025-227-2914
FAX:025-227-0810
E-mailアドレス:hayashi@dent.niigata-u.ac.jp