背景

平成21年に文部科学省「歯学教育改善・充実に関する調査協力者会議」から第一次報告
~確かな臨床能力を備えた歯科医師養成方策~がまとめられ、公表されました。
この報告書では、
◎ 臨床実習教育の質の低下と形骸化による歯学部卒業時の臨床能力の低下
◎ 体系的な歯学教育を実施するうえでの教育資源の充実の必要性
◎ 優れた入学者の確保の必要性
◎ 次世代を担う歯学研究者の育成の必要性
などの歯学教育の問題点と課題が指摘され、その改善策として
1.歯科医師として必要な臨床能力の確保
2.優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施
3.歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保
4.未来の歯科医療を拓く研究者の養成 が提言されました。
また、国際標準化、国内標準化の遅れや歯学分野の分野別認証評価の未実施による大学間格差も指摘されています以上のことから歯学教育の質の保証は、喫緊の課題となっています。

事業の目的

本事業では、これまで構築・運用してきた教育研究ネットワーク機能を活用し、3大学(新潟大学・東北大学・広島大学)の特色ある教育資源を提供し合い、それぞれの歯学教育を補完することにより3大学歯学部教育の高度化を目指します。また、得られた成果の情報発信、厳格かつ客観的な相互評価により日本の歯学教育の標準化を図り、将来の歯科医療の質の保証に資するとともに、我が国の歯学教育の国際標準への適合を目指します。

事業の概要

事業の目的を達成するため、まず、3大学が対等に教育改善を進める場として「共同教育プラットフォーム」を設置します。 この共同教育プラットフォームは、本事業の企画、運営の実質としてFDの開催や教務担当教員の相互派遣を主導し、3大学全体で、本事業の目標達成のため、
◎優れた歯学教育教材の開発・提供・実践、改善
◎問題発見・解決型学習の展開
◎特色ある教育の提供(相互乗り入れ講義)
◎学生の交流実習(歯学部版エクスターンシップ)
◎客観的評価方法の開発
に関する施策を実行します。

全国29歯科大学・歯学部の全国的共通課題

達成目標と数値目標

臨床能力を具備した歯科医師の育成
卒業生全員が歯科モデル・コア・カリキュラムで提案する臨床実習内容を修得
臨床実習全シミュレーション教育用統合型模型を完成させ、卒業生全員が臨床実習前に基本的な臨床基礎能力を具備
PBL チュートリアル教育を充実させ、卒業生に対する学生アンケートにおいて80%以上の学生が生涯学習能力の確保ができたことを自覚
次代を担う歯科研究者の養成
大学院充足率を90%以上
特別研究員を毎年採用
国際性と社会性の涵養
短期を含め、海外留学経験学生を20%に
摂食リハビリテーション、歯工学など新たな歯科分野の大学院に進学する学生を20%増加
評価法と教育能力の開発
教員の80%以上がFD/WSを経験
事業開始2年目以降、成果報告をステークスホルダー(日本歯科医学教育学会)の学術総会で3大学による共同発表を継続

期待される効果

1
歯学部臨床基礎教育・臨床実習教育の高度化を図ること、また問題発見・解決型学習の展開による生涯学習能力の向上を図ることにより、国民の歯科医療向上に貢献する歯科医療人を育成できる
2
学部段階からの系統立った研究能力開発プログラムの開発により、リサーチマインドを持つ歯学生の育成が可能となり、歯学系大学院進学率の向上、特別研究員採択数の増大により、我が国の将来の歯学研究を担う研究者育成につながる
3
国際化推進プログラムの導入により、国際感覚を涵養することができ、国際歯科保健・医療の現場で活躍できる人材育成が図られる
4
これまで歯科教育に欠けていた福祉・保健医療の教育プログラムを開発、共有することにより、現代社会の問題点である高齢社会で活躍できる歯科医師を輩出することができる
5
歯学教育の特色である技能教育の評価および問題発見・解決型学習に客観的な評価方法を開発し、全国に発信すること、および教育能力を共同で向上させることにより、歯学教育の質の担保ならびに全国的な歯学教育の質の保証が図られる