平成7年度の歯学部のあゆみと当面の諸問題


歯学部長  小澤英浩
明けましておめでとうございます。
 新潟大学歯学部にとって、本年がより良い稔り多い年でありますよう、心からお祈 り申し上げます。
 昨年は国内においては阪神大震災を始め悲しむべき事件の多い多難な一年でした。 歯科界の現状も決して順風満帆とは言えず、難題を山積したまま新しい年を迎えまし た。その中で、歯科診療も量より質への転換、高齢者など在宅患者に対する適切かつ 積極的な対応が求められ、大学における歯学の教育・研究・診療も今何をなすべきか が厳しく問われています。  世紀末には様々な出来事が相次いで起こり、不安な状態のまま新しい世紀を迎える ことが、歴史上繰り返されてきましたが、今世紀こそは人類の叡知とすばらしい感性 により、スペースシャトルから見る地球のように、美しく一体となって輝く世紀を迎 えたいと願っております。 

平成7年度の歯学部のあゆみ

 平成5年の歯学部ニュース1号に歯学部の将来構想について特集記事を載せて頂き ました。その中で、学部カリキュラムや大学院の機構改革などについて詳しく説明さ せていただきましたので、ここではそれらの詳細については省略させていただき、以 下、主な事項について昨年を振り返ってみたいと思います。

1)カリキュラム編成:
 本学部では、常に「科学する心」を持ち、歯学・口腔科学を単に自然科学の一分野 としてだけではなく、人文・社会科学も含めた総合科学として捉え、全人的歯科医療 を行うことのできる歯科医師、優れた独創的な歯学研究者、地域社会における歯科保 健衛生の行政担当者を育成することを基本理念として、6年一貫教育体制の編成を目 指して参りました。  平成7年度の2、3年生のカリキュラムは、教養部改組に伴う6年一貫教育への移 行期に当たるため2学年合同授業を余儀なくされ、教職員ならびに学生諸君にも多大 なご迷惑と負担をお掛けしておりますが、より一層のご理解とご協力をお願い申し上 げます。この間、平成8年度以降の新カリキュラムの編成が、カリキュラム編成委員 会と学務係のご努力によって検討され、懸案の単位制を含めて基本案が作成されまし た。すなわち、新カリキュラムは21世紀へ向けての歯学を目指し、「ゆとりあるカ リキュラム」「問題提起・自己解決型学習」を基本理念として、バラエテイーに富ん だ編成が進められており、そこには選択科目や総合講義、ボランテイア実習、研究室 実習(フリークオーター制)の導入などが検討されています。これらの詳細について は、別項で紹介されますのでここでは省略させて頂きます。各講座の講義・実習概要 を纏めたシラバスも初めて作成され、学生諸君のみならず、各講座間での教育内容に 関する相互理解にも大変役に立っており、現在、大学院についてもシラバスの作成を 急いでおります。  新カリキュラムは平成10年から実施されますが、その間は移行的措置としてのカ リキュラムで進行せざるを得ません。改めて、学部挙げてのご理解とご協力をお願い 致します。

2)大学院の機構改革:
 大学院問題は継続的に検討すべき重要課題の一つです。すでに一昨年の歯学部ニュ ースでも大学院の直面する諸問題や将来構想などについて述べさせていただきました が、昨年も大学院教育の充実、大学院重点化を目標として、大学院の機構改革・改組、 社会に開かれた大学院としての昼夜開講制の実施などについて積極的な検討を行って 参りました。  現行の大学院教育に関しては、カリユラムの具体化を急ぐとともに、学際的・複数 指導体制を強化し、教育の実を上げる努力を重ねております。この体制を来年度に向 けて更に強化するために、現在大学院シラバスの作成を行いつつあることについては、 既に述べた通りです。また、大学院教育の充実を図るために、来年度には本歯学研究 科として初めて大学院非常勤講師を依頼し、約158時間の「特色ある講義」が予定 されております。  明治29年に作られた医学部講座制は、驚くことに余り形態・内容を変えることな く現在に及んでおり、近代の生命科学研究の進歩発達に対応するためにも様々な矛盾 や制約が生じていることは周知の事実であります。さらに、そのような研究の発達に 裏付けられた教育組織としても多くの問題点が指摘されており、今まさに大学は組織・ 構造改革の変曲点に差し掛かっています。そのような現状を打開し、よりよい教育・ 研究の場を大学に築くために、各大学が大学院重点化を目指ししのぎを削ってその実 現に向かって検討・努力しております。そこには、わが国における高等教育・研究機 関を大学院教育を中核として整備し、21世紀の地球を担う人的資源の育成を願う 100年の計が込められているものと思います。本学においていかなる形態で大学院 の重点化を進めるかについては十分な検討を要するところであります。時間は掛かり ますが、段階的に重点化を目指して大学院の組織改革を行うことについては合意され ております。そこで、平成8年度には専攻系の改組についての概算要求の頭出しを行 いました。その内容は既に平成5年の歯学部ニュース、第1号でご案内した通りで、 現在の基礎系・臨床系2専攻の専攻系を、基礎系・臨床系を複合させた3専攻系に改 め、そこに独立専攻系を新設する改組案であります。この改組を足がかりに、より一 層の大学院組織の改善をはかり、よりよい、教育・研究環境を作りたいと願っており ます。そのためには、できるだけ早期に大学院生の充足率を100%以上とすること が必要条件であり、学部あげてそのハードルを越える努力を積み重ねております。

3)大学院歯学研究科に昼夜開講制を導入:
 多くの分野で最近生涯学習の重要性が叫ばれ、特に日進月歩の生命科学領域では、 常にリカレント教育が必要であり、その体制を組織化することが望まれています。歯 学領域においても疾病の多様化・複雑化に加えて高度先進的な治療技術を要する疾患 が急増しており,対応する歯学・歯科医療の研究分野の知識も飛躍的に増加しつつあ るのが現状であります。  このような状況は、現在の臨床歯学に携わっている歯科医師や歯科医学教育者であ っても、これらの知識を身につけそれを日常の歯科医療や歯学教育に還元することを 困難にしているほどであります。そのため特に、実地診療にあたっている一般開業歯 科医師や病院勤務歯科医師、歯科保健医療に従事している社会人の中からも、最新の 歯学の知識・技術を学び、高度の歯学研究能力を身につけた歯学研究者として、その 成果を社会に還元したいという要望が強まってきております。  そこで、私どもは、大学院教育を生涯教育の中枢として位置づけ、積極的に大学・ 大学院の門戸を解放するために、大学院設置基準第14条の特例を用いた昼夜開講制 の大学院制度の導入を検討して参りました。すなわち、歯学研究科においては、従来 の2専攻すべてにおいて昼夜開講し、実地診療に当たっている一般開業歯科医師や病 院勤務歯科医師、歯学分野の研究者及び保健医療従事者等の社会人の希望者に対して 歯学研究科の門戸を開放することは、開かれた大学を標榜する新潟大学として当然の 課題と考えた次第であります。  これによって実地診療にあたっている一般開業歯科医師や病院勤務歯科医師、歯学 分野の研究者、保健歯科医療等に従事している社会人などの有職者の再教育が歯学研 究科において初めて可能となるわけです。すなわち、多くの有望な歯科医療関係社会 人が在職のまま大学院教育を受け、研究に従事し、歯学研究・教育及び実践上の指導 的役割を果たしうる学識と研究能力を培う機会を得ることが可能となると考えられま す。  以上のような趣旨に則り、新潟大学大学院歯学研究科では「開かれた大学院」を目 指して,大学院歯学研究科に昼夜開講制を導入すべく努力して参りましたが、この度、 全国の歯科大学・歯学部に先駆けて本年4月からその開講が認められ、現在その募集 を行っております。  改めて本制度認可申請に際し多大なご協力を賜りました歯学部同窓会、新潟県・市 歯科医師会はじめ関係各位に、本稿をお借りして厚く御礼申し上げます。

4)博士講座の新設について:
 本学部では、近年の歯学教育・研究・診療の急速な発展と専門化に対応すべく、博 士講座の新設を検討しております。一つは急速な高齢化に対処するために、高齢化を 加齢現象の過程の中で明確に捉えるための加齢歯科学(高齢者歯科学)を専門的に研 究し教育する博士講座であります。新潟県は全国でも高齢者の占める割合が高く、高 齢者に対する歯科診療のあり方やその方法が問われているのが現状であります。他は 在宅診療を含め益々全身管理が重要視されつつある現状と、歯科領域における麻酔の 特殊性を鑑み、既に診療科の設置されている歯科麻酔科を歯科麻酔学講座として充実 させ、教育・研究・診療の更なる発展を期待しております。

○加齢(高齢者)歯科学講座
 高齢化社会に突入し、高齢者人口が急増しつつある先進諸国が増加する一方、地球 規模でみると、そこには飢えで悩む人々が増加している事実もあり、この問題は一国 家のみで解決の出来ない深刻な問題にまで発展する要素を含んでいることは確かであ ります。また、加齢・老化は生理的現象であり、疾病ではないとする見方もある一方、 老化は病理変化であり、それは予防も治療も可能であるとする考え方もあります。私 どもは、これらの一見矛盾した現象や見解に対して科学的に対応し、人類福祉のより よい将来を予見するために、歯科領域における加齢や老化現象を生命科学的に分析し、 的確に対応する必要があると考えております。  わが国における高齢化は、西欧諸国に比べてその進行が急速で、既に65歳以上の 高齢者が14%を越え、15年後(平成22年)には21%を越えるものと推定され ています。また寿命の延長とともに高齢期間が長期化するため、高齢者には多かれ少 なかれ心身機能の低下や、いわゆる成人病の増加は避けられないものの、保健、医療、 福祉の連携強化を図り、自立して生き甲斐のある生活を送れるような明るく活力のあ る長寿社会の実現が望まれています。高齢化に対応して国は長寿科学を「老化のメカ ニズムの解明、高齢者特有の疾病の原因解明と予防・診断・治療、更に高齢者の社会 的・心理的問題の研究等、高齢者や長寿社会に関し、自然科学から人文社会科学に至 るまでの幅広い分野を総合的・学際的に研究する学問」と定義しています。  歯学における長寿科学の概念もこの定義に基づくものであり、加齢歯科学は歯学領 域における加齢現象や老化抑制機構の解明とともに、歯科領域における成人疾患、老 年疾患の発症機序解明のため複数領域からなる学際的研究を行おうとするものであり ます。さらに、高齢者のQOLの向上、高齢者に対する歯科医療体制の整備・充実を図り、 福祉行政の観点も踏まえて幅広く総合的かつ体系的に発展させる学問領域としたいと 考えています。同時に、加齢歯科学は高齢者を直接の対象とするばかりではなく、高 齢化を加齢の一過程として捉え、高齢者に至る過程で生じる各種歯科疾患の予防や治 療に関する教育・研究も対象とする学問領域であります。  加齢に伴う食生活の変化、特に高齢者にとっては、食生活が老化の防止や健康の保 持増進に極めて重要な役割を果たしていることは、最近良く話題にのぼります。この 一例を取って見ましても、加齢・老化に伴う口腔機能の諸変化、身体的、精神的加齢・ 老化現象の研究、あるいは老人性疾患の基礎・臨床の関連分野による総合的・学際的 な研究、さらには、加齢現象の一環として高齢者個々の特質を把えた新しい診療のた めの教育体制の確立が必須であることを強く示唆しております。  さらに、新潟県は、離島をはじめ過疎化及び豪雪地域を多く含み、全国平均をはる かに上回る高い高齢者比率でありながら同居率が高いために、家庭内ケアーのモデル ともなっている地域的な特徴を具備しています。そのため、他府県には見られない様 々な付加的要素が多く、歯科疾患を抱える高齢者に対して在宅診療などの特別な診療 体制が特に必要とされています。これらを包括的に取り込み、高齢者の食生活を中心 としたQOLの向上と改善にも、急増する様々な疾病を併発している高齢者に対して適切 かつ迅速に歯科的対応を行うためにも、さらには環日本海圏における主導的な教育・ 研究・診療体制を確立すためにも、本学部に加齢歯科学講座を新設することは急務で あると確信しております。  すなわち本学部においては、加齢歯科学を学問の基盤として、高齢者の顎顔面口腔 領域を総合的・体系的に取り扱う教育・研究体制を確立し、学際的な歯学の新しい学 問領域の核として発展させるとともに、社会的要請に応えるためにも今後の高齢化社 会に対応する臨床体制の確立を目指して、上記のような学問領域を担当する基幹講座 として加齢歯科学講座の新設を是非実現させたいと念じております。

5)旭町地区再開発整備計画、その後:
 旭町地区再開発整備計画の概要については、すでに歯学部ニュースを通じて幾度か お知らせ致しました。財政投融資を用いて、病院の再開発が先行することは現在のわ が国の経済状態では止むを得ないところであり、当初希望されていた旭町キャンパス の一括再開発整備計画は現状では不可能に近いと判断されます。しかしながらこのよ うな状況下にあって、昨年の旭町将来計画委員会ならびに五(七)部局長連絡会議で は、キャンパス内の基本的ゾーニングが決定され、今後の再開発においては、決定さ れたゾーニングに沿って、それぞれの再開発が進められることになりました。すなわ ち、歯学部・同附属病院は付図のように現在位置と医学部外来棟を含めたゾーンに再 開発を行い、医学部・同附属病院により接近した形態で、順次整備することになりま した。再開発の第1期工事は最も老朽化している医学部附属病院の病棟から開始する こととし、現在その概算要求を行っております。一方、この再開発整備計画のために 待たされていた歯学部附属病院の増築については、再開発整備計画とは別に概算要求 することが認められ、現在その結果を待っている段階です。  これらの再開発を含めた旭町地区の諸問題は、旭町将来計画委員会と五(七)部局 長連絡会議で検討を進めておりますが、今後環境整備を含め、より具体的な検討を行 うための組織として、そこに小委員会が設置されました。  再開発整備計画はこのようにやや足踏み状態ではありますが、大学院機構改革など のソフト面の検討も含めて着々とその実現に向けて進められておりますので、今後と も皆様のより一層のご理解とご協力をお願い致します。

6)特別設備など:
 特別設備費として概算要求していた「細胞機能分析装置一式」が昨年度の補正予算 で購入され、B棟7階の動物実験観察施設の一角に設置されました。一昨年、わが国の 大学として初めて本学部に設置されたエネルギーロス型元素分析装置(EELS)に引き続 き、最新鋭の分析機器が設置され、今後の研究成果が期待されております。それぞれ の機器については別の機会に詳しく紹介されるものと思いますが、是非とも多くの皆 さんに利用していただきたいと思います。教育用特別設備としては、これも一昨年に 引き続き、臨床実習のシミュレーション機器が整備されました。この装置も国立大学 では初めての機器であり、臨床実習を客観的にモニターし、反復練習の出来る画期的 な機器として多くの大学の注目を集めています。

7)その他:
 大学全体に関わる問題としては、自己点検・自己評価の第三者による評価(大学協 会に評価を依頼)を行うことが決定し、また教官の任期制度の導入問題などが今後の 検討課題として残されています。  また、歯学部に関する事項としては、昨年度には卒直後研修の制度化問題があり、 歯科大学長会議や病院長会議などで活発な討議が行われました。結論は持ち越しまし たが、本年度はさらに具体的な検討がなされるものと思います。  人事面でも新しい動きがありました。堀井名誉教授の後任として、昨年12月1日 付けで予防歯科学講座に九州歯科大学から宮崎秀夫教授をお迎えし、また、歯科薬理 学講座には、鈴木名誉教授の後任として、本年4月1日から山之内製薬研究所長の川 島博行先生を教授としてお迎えすることになりました。それぞれの講座の新たな発展 が期待されます。一方、本年1月1日付けで、口腔解剖学第2講座の高野教授は東京 医科歯科大学歯学部口腔解剖学講座への配置換が決まり、本学部としましては心身気 鋭の若手教授を一人失うことになりました。しかし、本学部卒業生が医科歯科大学の 教授として活躍することは、まことに喜ばしいことであります。高野教授には、本学 部における5年にわたる教育・研究・学部運営への多大なご貢献に対し、心より御礼 申し上げますとともに、今後益々のご活躍・ご発展をお祈りいたします。

 国際交流も活発化しており、多くの留学生が歯学研究科に在籍しております。国際 交流の一貫として、本学部は多くの大学と学部間協定を締結しておりますが、昨年は ダッカ大学に続いて、中国の昆明医科大学とも協定を結び、現在ルーマニアのカロル・ ダビラ医科薬科大学との学部間協定締結の準備を進めております。

 本学部が歯科大学・歯学部主幹校の役を果たしている日露医学協力機構の主催によ る第3回日露医学医療交流国際シンポジウムが、昨年6月22日大阪で開催され、歯 科分化会ではペリオとインプラントを主題として発表が行われました。次回は今年の 9月にロシアのイルクーツク大学で開催され、歯科分科会は口腔病学(Stomtology)を 中心として、インプラント、歯科矯正学に関するシンポジウムが予定されております。

 昨年末、11月29日には歯学視学委員と文部省による、本学部の視察が行われま した。8年振りの視察でしたが、皆様の絶大な御協力と日頃積み重ねてきました本学 部構成員全員のご努力の結果、高い評価を戴いて無事終了致しました。この稿をお 借りして改めて御礼申し上げます。

 一昨年の原教授に続いて、大橋教授が昨年度の日報文化賞を受賞され、また、松木 先生がJDRの年間最優秀論文賞を受賞するなど、各分野で目覚ましい活躍があったのも 昨年度の特徴の一つでした。本年度も諸先生方の益々のご活躍を期待いたします。

 例年通り、昨年度も運動会や歯学祭など、学生諸君を中心としたイベントも行われ、 学生間、学生・教職員間の交流や「開かれた大学」として市民との交流も行いました。 しかし、教官の平均年齢が高くなったためか、または学生諸君のゆとりや気力が無く なってきたためか、今一つこれらのイベントの盛り上がりが欠けており、残念でした。 折角の行事ですので本年度はもっと多くの参加を得て、楽しめる企画を期待しており ます。

 学内LANやインターネットなど、情報処理・伝達システムに関しては、情報処理委員 会の先生方のご努力や、諸先生方のボランテイア活動によって、本学部は全国でも有 数な情報処理機能を誇っています。しかし、予算の裏付けが乏しく、思うようなシス テム作りが出来ないでいることも事実であり、本年度は情報処理教育やそのシステム 作りに関し、予算化を含めて検討を進めたいと思っております。

 その他、懸案事項の一つとして駐車場の確保があります。特に現在多くの大学院生 や研究生、教官が夜間や休日の駐車場の使用を希望しており、昼夜開講制の導入によ りさらにその必要性は増すものと考えられますので、出来るだけ希望に添えるよう現 在医学部とも交渉を行っています。病院の増築などで益々縮小される駐車場ですが、 その有効かつ適切な運用によってできるだけご不便をお掛けしないように努力いたし ますのでご協力下さい。さらに細かいことで恐縮ですが、学部環境整備と関連して学 部内清掃についてお願いがあります。建物も古くなり、そこに物の増加と定員削減が 伴い、共通区域の清掃が行き届かないでいるのが現状です。従来よりは多少清掃回数 を増やしましたが、とてもそれで間に合うものではありません。是非とも、講座単位 あるいは隣組単位で廊下、階段など共通領域の清掃にご協力戴きたいと願いますとと もに、学生諸君にも講義室・実習室などを汚さないよう、また当番を分担して清掃を 行うなどの協力をお願い致します。  昨年末から今年のはじめにかけて、営繕工事費により外壁の塗装を行っています。 関係する講座等には大変ご迷惑をお掛けいたしておりますが、今少しご辛抱下さい。 残りの部分についても出来るだけ早期に補修・塗装を行う予定です。また、水道管の 腐食などによる赤錆は、診療や研究に大変支障を及ぼしており、一日も早い改善が求 められています。大型改修工事で一度に配管等を取り替えることも考えられますが、 現状では改修工事期間の避難場所も無く、再開発の動きを見守るしかありません。そ こで、最も支障をきたしている場所から順次、赤錆対策を施し、取りあえず診療や研 究に支障をきたさないようにする予定でおります。  その他、6年一貫教育によるカリキュラム進行に伴う講義室の不足を補うために、 第一講義室の視聴覚設備の整備を行うとともに、不足分の講義室の増設を検討する必 要があります。第一講義室の整備は、予算措置されましたが、増設に関してはこれか らさらに予算要求を行わなければなりません。また、本年4月から電波法が改正され るため、従来のマイクなどは使用できなくなります。当然、新しい拡声装置などの設 置予算は別建てで措置されるべきでありますが、現在のところその見通しはなく、学 部予算の中から予算措置を行わざるを得ないのが現状です。

 以上、思いつくままに、昨年度の本学部の歩を振り返って見ました。取りこぼした 事項も多々有ろうかと思いますが、ご容赦下さい。  常に一歩先を歩む勇気と創造性により、本学部が特徴ある歯学部として益々発展す ることを期待して、皆様ともども一層努力したいと念じております。


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