歯学部の姉妹校・・・中国昆明医学院口腔医学系
口腔病理学講座  朔   敬

 昆明医学院口腔医学系(昆明医科大学歯学部)とは平成7年6月に姉妹校協定が締結されたばかりです。
 昆明は雲南省の首都ですが、この省は中国の内陸部の南方に位置し、南はミャンマー、西はチベット自治区に接しています。常春の気候の高原地帯です。住民は漢民族のほかに、タイ族はじめ25くらいの少数民族から構成されています。中国を日本のようにひとつの国と考えると理解できないことがたくさんでてきます。ヨーロッパのECとか昔のソ連のようなものだと考えたらわかりやすいでしょう。雲南省も普通にわたしたちが考えている中国とは違う国です。上海からジェット機で三時間弱で着きます。  この大学は1937年の創立で、歯学部は1978年に開設されています。雲南省唯一の歯学部として、附属病院を付置して同省全域の歯科医療と歯学教育を担当しています。歯学部は、基礎系2講座と臨床5講座と総合研究講座の8部門からなり、教官は70名と事務技術系職員50名、管理職6名が働いています。一学年30名の学生を受け入れて、1年間の教養教育のあとに4年間の専門教育プログラムが組まれています。学生は全国大学入学試験を受けたもののなかから選抜されます。中国では、日本の国家試験に相当するものはなく、歯学部を卒業すると、歯科医師の資格が与えられます。学部長は口腔外科学の呉栄忠先生で、副学部長はお二人とも女性教授で、日本語の上手な生理学の李松先生は大阪歯科大学に学ばれた唯一の日本経験者だそうです。
 現在、新潟大学歯学部との交流には、口腔病理学講座の李映芳教授と筆者との共同研究があります。中国に多発するEBウィルス関連の特殊な唾液腺癌に関する疫学的あるいは分子病理学的研究です。また、この地方の特色は前述のとおり多数の民族構成ですから、最近、この大学で行われてきた少数民族顎顔面骨格の人類学的研究が、国家重点研究として採択されたということをお聞きしています。
 筆者は昨年冬にこの大学に一週間ほど構内のゲストハウスに滞在しました。そのときの様子は昨年の歯学部ニュースに「雲南の青い空」と題した作文を載せました。薄いピンクに煙ったようにみえる海棠の花の並木道をはじめ、その自然の美しさはわたしには未知のものばかりでしたから、強い印象で残っています。

写真説明:
昆明医学院口腔病理学研究室で検鏡中の様子。右端が李教授、座っているのが筆者。
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