大学院修了にあたって-Bad Communication-

歯科矯正学教室町田直樹


4年は短い。正直な気持ちである。24であったのが気付けば28。25、6位が男も熟れ頃かなと思っていたらもう過ぎた昔となってしまった。しかし、精神年齢だけは取り残されたようで、後輩とカラオケにいっては未だに18の頃に流行った B'zの Bad Communicationを訳の分からない振りで踊っている、かれこれDance歴10年(正確には踊
らされているのだが、こっちも乗せられるとつい喜んで踊ってしまう)。同期がこれを読んだらまだやっているのかと呆れるであろう。

さて話を戻すが、大学院入学当初、4年もかけて研究をするのか長いな、と思っていた。指導教官の先生方には早く結果を出すよう催促されているにも関わらず、呑気な性格はプラス志向に働くようにできており、あとまだ3年もある、あとまだ2年もあるといった具合でなかなか本腰が入らずにいた。そして、4年目。初めて過去を振り返ったとき、かなり動揺したことを覚えている。『この3年で自分はどれだけのことをしたのだろうか?この調子であと1年、論文になる結果がだせるのだろうか?』そこから、日付の数え方が変わった。あと10ヶ月、あと9ヶ月。カウントダウンである。決してマイナス志向になったわけではない。性格はそう簡単には変わらない。しかし、スペースシャトルの乗組員のように全てを終え、あとは祈っていれば宇宙が目の前に開ける状況ではない。自分でなんとかしなければならないのである。まず始めたのが指導していただく先生方との朝7時半からの勉強会。全く指導の先生方にとってはいい迷惑だったであろう。しかし、これは効果的であった。勉強会までに結果をまとめなければならないので厭でも仕事は進むのである(但しこれは私の場合で皆に当てはまるとは限らないが)。そして、自分の中に結果が見えかくれしたのが〆切1ヶ月前。ここからは、日付の数え方がまた変わる。あと30日なんて数え方してたら逃げ出す方法を考えているうちに1日が終わってしまうのである。そして、〆切直前滑り込みセーフ。傍からみれば、宛らアクション映画をみている気分であったに違いない。この4年にやってきたことをもう一度やり直したらきっと1年もあれば終わるだろう。それだけのことしかできなかった。しかし、1年で終わらすだけの洞察力、思考力、そして技術を修得したからこそ思えるのであろう。研究とはそういうもので、自分はやっぱりプラス志向なのである。

最後に、この4年間、私と共に落ちつかぬ日々を過ごすことになってしまった指導教官の先生方にお詫びし、感謝の気持ちを添えてこの稿を終えたいと思います。


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