取り組み

新潟大学歯学部特色GP通信

特色GP(Good Practice)とは「特色ある大学教育支援プログラム」の通称であり、平成15年度から文部科学省が大学教育の改善に資する種々の取組のうち、特色ある優れたものを選定し、選定された事例を広く社会に情報提供するとともに、財政支援を行うことにより、国公私立大学を通じ、教育改善の取組について各大学および教員のインセンテイブになるとともに、他大学の取組の参考になり、高等教育の活性化が促進されることを目的として行っている事業です。

新潟大学歯学部は、「学生主体の三位一体新歯学教育過程―社会に貢献する包括的歯科医師の育成を目指して―」で、平成18年度特色GPに選定されました。今年度は各大学、短期大学から331件の申請があり、48件の選定がなされたとのことで、歯科医師養成課程では新潟大学歯学部1校のみの選定となりました。

この「新潟大学歯学部特色GP通信」では、特色GPに関する情報を随時お届けしています。

平成18年度特色GPフォーラム報告

特色GPフォーラムが、大学基準協会主催で札幌、大阪、福岡で、文部科学省主催で合同フォーラムとして横浜で開催され、ポスターセッションに参加しましたので、その概要について報告します。

札幌会場は平成18年10月30日(月)に札幌コンベンションセンターにおいて、横浜会場は11月12日(日)にパシフィコ横浜において、大阪会場は12月4日(月)に大阪国際交流センターにおいて、福岡会場は12月12日(火)にアクロス福岡において開催されました。新潟大学歯学部の取組は来場者および他大学関係者から高い評価をいただき、特に、受動的から能動的な学習への転換により、歯科医師として必要な知識・技能・態度をバランスよく身に付ける学習者中心の教育に関心が集まりました。質疑応答では、本取組を教育課程に取り入れるまでの経緯や、実際に行うにあたっての具体的方法とその問題点、また、取組の効果とその評価などについて活発な討論がなされました。

なお、特色GPフォーラムでは、ポスターセッションの他に、シンポジウムが開催されますが、札幌会場のシンポジウムにおいて、第1審査部会(教育課程の工夫改善)委員の星城大学長、林哲介先生より、「それぞれの分野の教育について、合理的・効果的なカリキュラム構築だけに留まらず、幅広い教育、人間的成長を視野に入れた総合的教育につなげようとする取組である」との評価をいただきました。


札幌会場

横浜会場

大阪会場

福岡会場

特色GP支援事業FD講演会報告(その1)

平成18年12月14日(木)に、特色GP支援事業FD講演会が歯学部講堂において開催されました。このFD講演会は、平成18年度に新潟大学歯学部が採択された特色GP「学生主体の三位一体新歯学教育課程-社会に貢献する包括的歯科医師の育成を目指してー」の事業の一環として企画されたものです。

講師として、東京慈恵会医科大学教育センター教授の福島統先生をお招きし、先生から、「医学教育の最近の流れと東京慈恵会医科大学の取組」と題した講演をいただきました。他大学の優れた取組を知ることにより、翻って、新潟大学歯学部の教育を省みるよい機会が与えられました。講演内容は、東京慈恵会医科大学で行っているInter-professional Education、Community-based Medical Education、総合試験システムなど多岐にわたり、たいへん興味深いお話をお聞きすることができましたが、特に印象に残ったことは、患者様(国民)に奉仕できる医師を育てる教育、国民中心の教育をすべての教育の根底に位置づけて医学教育を実践していることでした。

当日は83名と歯学部教員の大多数が参加し、活発な意見交換が行われ、予定時間を大幅に延長する熱いFD講演会となりました。新潟の冬の寒さを忘れさせた一時でした。

講演会の様子(Real形式)

特色GP支援事業FD講演会報告(その2)

保健医療福祉制度は大きな変革期を迎えています。

今回のFD講演会は、平成19年1月12日(金)に、新潟県産業労働観光部長(前福祉保健部長)の丸山仁氏をお招きし、「新潟大学歯学部に期待するもの〜新潟県の保健福祉施策と健康産業の動向から〜」と題して、地元新潟県における保健福祉の動向および県が力を入れている健康産業育成のための各種施策についてご講演いただきました。

このうち、健康福祉に関しては、少子高齢社会における持続可能な施策の展開が求められているとして、利用者本位(措置から契約へ)、個人重視(健康づくり)の立場から健康長寿立県へ向けた種々の取り組についてご紹介いただきました。また、「健康・福祉・医療」ニーズに応じた新潟県産業イノベーションとして、「健康ビジネス連峰構想」が示され、歯科関連においても健康ビジネス検討チームが発足したことが披露されました。

さらに行政から当歯学部へ期待するものとして、県民の健康長寿に寄与する口腔保健、歯科医療の研究と教育、介護福祉分野への人材の進出、産学官連携の推進等を挙げられ、人材育成や研究臨床の今後の方向性について、熱いメッセージが参加者に届けられました。

特色GP支援事業FD講演会報告(その3)

平成19年1月19日(金)、がん専門病院において先駆的な口腔ケア実践と研究活動に精力的に取り組んでおられる大田洋二郎先生(静岡がんセンター)をお招きし、「がんチーム医療の中で果たす歯科の役割―がん治療の口腔ケアが医科歯科連携の鍵になる―」と題したFD講演会が開催されました。セミナー当日は、教職員はもとより学生も多数参加し講堂は熱気に包まれました。

ご講演では先ず、口腔ケアのエビデンスについて概括され、人工呼吸器関連肺炎VAPの発生頻度と予後を例に慢性期、急性期ともに口腔ケアが急速に普及している医療現場の現況が多くの事例をもとに紹介されました。

続いて頭頸部進行がん患者の再建手術における口腔ケア介入等先駆的プログラムが、合併症の発生率の軽減や入院日数短縮におおきな効果があることを、静岡がんセンターの挑戦をとおして強調されました。

また口腔ケアが終末期医療においても、患者の苦痛を和らげ、病気に立ち向かう患者さんのファイテイングスピリットを高めるなど、患者QOL向上という観点から重要な役割を果たしていることにふれ、チーム医療の中で果たす歯科の役割について力説され、これから口腔ケアをいかに大学病院内に普及させるかが課題であると結ばれました。

ページの先頭へ戻る