再生医療・臨床研究人育成コースでは本学が現有する口腔粘膜細胞培養技術をさらに応用・展開し、口腔粘膜前駆・幹細胞を用いて口腔外の創傷のケアを行うトランスレーショナルリサーチが基盤となる教育を目指します。国際ワークショップに積極的に参加(エクスターン科目)させることで、臨床試験コーディネーター・マネージャーを担える人材を育成します。研究面では、臨床治療方法の実用化に向けて、培養口腔粘膜細胞の特徴づけから、生体内での細胞動態の検索により、フェーズIあるいはII臨床試験の申請まで目指します。また、培養細胞のリアルタイムで非侵襲的分析法と装置の開発を同時に進め、口腔粘膜幹細胞の同定と単離を目指し、さらに有効な創傷治療の開発を行います。
コースの概要
ki-67陰性の細胞層に存在していると考えられる口腔粘膜の前駆・幹細胞を取り出し、培養環境下で増やして、研究・移植に用いる。
背景
- 新潟大学発の口腔粘膜培養細胞の臨床応用
- 口腔機能改善のための再生医療への期待
- 再生医療研究成果の社会への有効還元225
解決策
- 再生医学の知識・技術・倫理観に精通した人材育成、細胞治療に関する総括的な知識を有する優秀なトランスレーショナルリサーチを行える卓越した人材の育成
問題点
- 再生研究の地方システム整備の遅れ
- トランスレーショナルリサーチ(TR)に対する理解不足
- マネージメント能力をもつ人材の不足
- 国際間競争への迅速かつ堅実な対応
口腔粘膜細胞培養技術を応用した再生医療人育成プログラム
- 再生医療の研究管理指導、臨床試験運営を行う人材の育成
- 歯科発のトランスレーショナルリサーチを行える卓越した人材の育成
- 培養口腔粘膜細胞工学に関する教育研究拠点形成
歯科から発信する実践的教育・研究プログラムの整備
事業内容
教育・人材育成
- TR人材育成トレーニング
- 国内外TR拠点の関係者との交流と訪問
- 国際ワークショップの参加、セミナー開催
- 英語によるコミュニケーション能力開発
研究
- 口腔粘膜幹細胞研究
- 新規口腔粘膜細胞培養法の開発・研究
- 新規scaffoldの開発・研究
医療展開
- 医歯学総合病院における臨床応用
コースの特徴 最先端医療の基礎から応用・実践まで
細胞を取り出した組織以外の組織の治療に使用する点に今までの再生治療と全く異なり、かつ使用する細胞は採取の容易な口腔粘膜であるという独創性と新規性があります。また、臨床研究を目指しつつ、この治療法をトランスレーショナルリサーチのプロトタイプとして活用しながら、トランスレーショナルリサーチの模範的チームになるような人材を育成し、さらにフィードバックによる幹細胞基礎研究をも同時に進めるという非常に独創的なプログラムです。口腔領域から発信する先端医療の基礎から応用、実践に至る研究開発を効率的に進めるためのプロジェクトです。
口腔粘膜細胞培養技術を応用した再生医療人育成プログラム
トランスレーショナルリサーチ運営のため、歯科から発信する実践的リサーチモデル
培養口腔粘膜・細胞を用いた応用研究
- 培養口腔粘膜による他粘膜欠損部の再建
- 培養細胞による創傷の細胞治療
- 安全性の確立した培養システム
- 非侵襲的細胞分析法の確立
トランスレーショナルリサーチ運営人材教育育成
- 国際水準レベルに達したコーディネーター
- 異分野間の多元的人的交流
- チームを統括する卓越したマネジメント
トランスレーショナルリサーチの包括的な理解
- 倫理観/法律・制度の理解
- 統計学的知識
- 人的資源の発掘
- プロジェクトのマネジメント
口腔粘膜幹細胞の同定と単離
- 幹細胞マーカーの解析
- 口腔粘膜の組織再生
- 細胞のサイズによる幹細胞集団の単離に成功
- 幹細胞の性格維持のためのセルシグナリング経路の発見と薬物操作法の確立
大学院 医歯学総合研究科・口腔生命科学専攻
医歯学総合病院・歯学部・国内外研究機関
期待される効果・工程表
トランスレーショナルデンタルメディスンという新たな学問分野の構築も可能であり、新たな再生治療法の開発が期待できます。
プログラム全体で期待される効果
- 先導的役割を果たす人材育成
- 大学院教育・研究の高度化
- トランスレーショナルリサーチ(新医療開発)地域貢献
- 国際的イニシアティブ、国際貢献
再生医療・臨床研究人育成コースの効果
- 歯科発の再生医療の展開、TR実践人材の育成
- 新型万能細胞の実用化に至るまでの時間の有効活用による再生医療実現のロールモデル
- 臨床研究遂行のための研究教育モデル(プロトタイプ)の構築
- 口腔癌患者への応用による途上国への医療貢献