実施事業

実施報告

International Symposium on Human Resource Development towards Global Initiative を開催しました。

開催日
2013年2月16日(土)・17日(日)
場所
タイ王国・ペッチャブリー県・チャアム

2013年2月16日(土)、17日(日)に、タイ王国・ペッチャブリー県・チャアムにて、表記の国際シンポジウムが行われましたので、ご報告いたします。

本シンポジウムは、「国際イニシアティブ人材育成プログラム」の一環として、文部科学省の支援を受け、新潟大学歯学部とコンケン大学歯学部(タイ王国)の共催で開催されました。本プログラムでコースを設定している再生歯科医学教育と国際口腔保健医療教育をメインシンポジウムとし、両大学からの発表者に加え、国内外から多くの講師を招き、活発な討論が行われました。

開会に際し、本学の生田孝至副学長(教育担当理事)、本学の前田健康歯学部長、コンケン大学のNawarat Wara-aswapati CHAROEN歯学部長から挨拶があり、本シンポジウムによる歯学教育・研究のコラボレーション促進への期待、また積極的に共催を申し出てくれたコンケン大学歯学部スタッフに対する感謝の意が述べられました。

新潟大学・コンケン大学歯学部
共催シンポジウム

生田副学長・教育担当理事の開会挨拶

本シンポジウムは5つのセッションから構成されました。

セッションI:Regenerative Dental Medicine 再生歯科医学シンポジウム

座長の泉健次准教授(本学・口腔解剖学)のもと、国内外再生歯科医学分野のリーダー的存在を多数シンポジストに迎え、魅力的な演題が揃い、会場からも活発な質疑応答が行われました。

  1. 歯肉由来iPS細胞の再生歯科医学への応用:
    江草 宏 助教(大阪大学・歯科補綴学第1教室)
  2. 海洋資源を活用した骨・口腔粘膜の再生:
    柏崎 晴彦 助教(北海道大学・高齢者歯科学)
  3. 幹細胞による骨粗鬆症の骨再生:
    Premjit ARPORNMAEKLONG 准教授(タイ・プリンス オブ ソンクラ大学・口腔外科学)
  4. 歯根膜組織のホメオスタシスにおけるメカニカルストレスの重要性:
    加来 賢 准教授(本学・生体歯科補綴学)
  5. 自家歯根膜細胞シートを用いた歯根膜再生:
    岩田 隆紀 講師(東京女子医科大学・先端生命医科学研究所/歯科口腔外科)

コース1 泉准教授によるイントロダクション

生体歯科補綴学・加来賢准教授による講演

セッションII:Global Oral Health Science Education 国際口腔保健学教育シンポジウム

「国際イニシアティブ人材育成プログラム」の第一の目的は専門家育成カリキュラムの開発です。Yupin SONGPAISAN特任教授を中心に、国際口腔保健医療専門家育成コース(大学院博士課程)が作成されている途上です。本シンポジウムではまずYupin教授よりこのカリキュラムの主旨と内容について概説され、次いでカナダ・ブリティッシュコロンビア大学歯学部長で、歯学教育において著名なCharles SHULER教授から、Global Oral Healthへの展望を交えて本カリキュラムを構築する上でのゴール設定の重要性について講演いただきました。さらに、タイ・タマサート大学元歯学部長であるPrathip PHANTUMVANIT 教授より、本カリキュラムの特色の一つである学外フィールド実習(エクスターンシップ)を効果的に行うための国際的なコラボレーション促進の重要性について講演をいただき、本学からは小川祐司准教授(予防歯科学)が、他先進国に比べ日本では国際口腔保健専門家育成が立ち遅れており、歯科界全般の意識改革が必要であると提言がありました。

その後の質疑応答では、ASEAN各国の歯学部長や米国の参加者から本カリキュラムへの意見と関心が寄せられ、活発な議論が繰り広げられました。今後の国際口腔保健医療専門家育成に大いに活かされることが期待されます。

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学・Charles SHULER 歯学部長による講演

Global Oral Health Science Educationシンポジウムでは活発な議論がなされた

セッションIII:Education and Research Collaboration 教育・研究の国際コラボレーションを目指して

新潟大学/ASEAN歯学部長会議

新潟大学/ASEAN歯学部長会議と題して、タイ国内はもとよりASEAN諸国の大学歯学部長・関係者など20名参加のもと、新潟大学歯学部の国際交流・留学生受け入れ・共同研究推進に対する現在の取り組みを説明し、意見交換を行いました。これまでの実績を踏まえ、アジアにおけるフォーカルポイントとして、またWHO世界保健機関協力センターとしての本学の教育・研究への期待は大きく、face to faceでの各大学代表者との議論によりさらなる交流の推進が確認されました。

朝食をとりながらの新潟大学/ASEAN 歯学部長会議。新潟大学歯学部の留学生受け入れに対する取り組みに対して多くの質問が寄せられた。

セッションIV:Advanced Research Seminar 若手研究者向けアドバンスド・リサーチ・セミナー

今回、研究発表を行った若手研究者はすでに論文まとめに入っている大学院3年生以上で占められました。そこで、「自分の研究をいかに今後につなげていくか」をテーマに、本セミナーが企画されました。座長の小川祐司准教授のもと、Charles SHULER教授(カナダ・UBC)からは最新の科学的知識を学び歯学教育に活かすことの重要性、またWaranuch PITIPHAT教授(タイ・コンケン大学)からは歯学・口腔健康科学におけるPractice-based research(臨床を基とした研究)という近年の潮流について経験を交えながら講演いただきました。

若手研究者にとっては、学位研究が一段落すると、臨床をやりながらそれを継続していくことがなかなか難しい現状において、メンタリティの保ち方も含め、とても参考になる教育講演であったと思われます。

コンケン大学・Dr. Waranuch PITIPHATによる教育講演

コンケン大学・Nawarat Wara-aswapati CHAROEN歯学部長

セッションV:研究発表

本シンポジウムは「若手研究者派遣事業」からの支援を受けており、大学院生を含む若手研究者の研究発表が奨励され、多くの若手研究者が国際学会での発表の機会を得るために参加いたしました。

2日間にわたり21題の口演発表と、12題のポスタープレゼンテーションが行われました。本学からは、口腔解剖学、口腔生理学、予防歯科学、齲蝕学、顎顔面外科学、摂食嚥下リハビリテーション学、包括歯科補綴学、生体歯科補綴学、口腔生命福祉学の各分野から合わせて13名が発表いたしました。本学とコンケン大学のほか、タマサート大学やタイ保健省から、国内では九州大学歯学部から2名の先生が発表され、シンポジストも含め国内外参加者が互いの研究を知り交流できるよい機会となりました。

一般口演。生体歯科補綴学・魚島教授の発表

歓迎レセプションではコンケン大学の大学院生がタイ・ダンスを披露してくれました

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