概要

本プログラムの概要(国際口腔生命科学コース)

「魅力ある大学院教育」イニシアティブ(行動計画)は、文部科学省が行っている国公私立大学を通じた大学教育改革支援プログラムの一つで、現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的研究者養成に関する取り組みに対し重点的な支援を行うものとして平成17年度より公募が開始されました。

新潟大学大学院医歯学総合研究科・口腔生命科学専攻では、アジアの留学生を対象として大学院教育を実質化させ、国際社会に対して日本が果たすべき役割の一端を担おうとの趣旨から、平成17年度に「国際口腔生命科学コース(取組代表者:山田好秋研究科長)」の設置を決め、本コースを基盤として「魅力ある大学院教育」イニシアティブに申請しました。その結果、申請したプログラム「留学生大学院教育の実質化による国際貢献−留学生のための実効性を高めた大学院教育−」は、平成17年10月に「平成17年度・魅力ある大学院教育」イニシアティブとしての採択が決まり、このコースへの留学生受け入れ準備を始め、今年4月よりこのコースで履修する留学生が入学しました。

採択については、昨年10月30日付けの新潟日報でも紹介されましたが、平成17年度における医療系分野での採択状況は、国公私立大学からの70件の応募のうち19件が採択され、歯学の分野では新潟大学と九州大学の2校のみの採択でした。

本稿では、国際口腔生命科学コース設置の背景と目的、コースの特色および進捗状況などについてその概要を報告いたします。

背景と目的

大学院医歯学総合研究科・口腔生命科学専攻では、大学院歯学研究科の時代より数多くの留学生を受け入れ、現代社会が抱える超高齢化における健康ニーズに応えられる創造性豊かな研究者の養成に努めてきました。実際、平成12年〜16年度までの留学生受け入れ状況は、アジアからの留学生を中心に、大学院正規生28名、非正規生9名で、そのうち国費(日本からの奨学金を獲得)留学生25名、私費留学生12名となっていますが、私費留学生にとって、4年間日本で履修するにあたっての経済的負担はきわめて大きいものがありました。また、アジア地域各国における口腔疾患の多さと劣悪な歯科医学教育研究環境、新潟大学で学位を取得した留学生が帰国後その知識・技能を有効発揮できない事情などに着目すると、留学生に日本の歯科医学を教授すると共に、経済的負担を軽減し、本学で留学生として学位を取得した現地教員にも活躍の場を与えられるようなコースを設置すべきとの考えに至りました。そこで、アジア地域社会への貢献および出身国の実情にあった人材養成を目指し「国際口腔生命科学コース」を設置しました。

新潟大学歯学部の教育目標

国際口腔生命科学コースの概要(コース概念図参照)

これまでにも交流実績のあるスリランカ・ペラデニア大学およびタイ・ナレスアン大学を拠点校と定め、それらの大学と連携・協力し、大学院教育の実質化を図れるよう以下の取組計画を策定しました。

  • 学生は、1年間新潟大学で基礎教育を受けた後出身大学に戻り、2〜4年次はe-Learningによる授業で単位を取得する。また、1年次における基礎教育では、学習課題を複数の科目などを通して体系的に履修するシステム「コースワーク」を導入することとしている。
  • 口腔生命科学専攻の教員が短期間拠点校に赴き、研究環境を整備すると共に、指導にあたる拠点校教員の再教育を実施し、国際口腔生命科学コース履修中の学生の研究指導にあたる。
  • 拠点校で指導にあたる教育スタッフが最新の研究に触れることができるよう、拠点校の教員を短期間新潟大学に招き、口腔生命科学専攻に在籍する大学院生と共同研究させる。

国際口腔生命科学コースの概要

教育課程の編成

国際口腔生命科学コースの設置にともない、以下のように教育課程の編成をおこないました。

  • 修了要件は既存の一般コースと同様。30単位以上の単位修得後、博士論文を提出
  • 論文審査は、拠点大学で予備審査後、新潟大学教員と教育担当補助教員で構成される審査委員会で審査
  • 審査委員会への学位論文提出要件として、国際誌への投稿を義務付け
  • 合格後、現地で学長または研究科長または専攻科長が授与

コースワーク

コースワークは、平成17年度に示された中教審による「新時代の大学院教育−国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて−」の答申でもその重要性が指摘されている。

教育課程の編成

履修モデルとコースワークの一例

アジアにおける口腔疾患の多さに鑑みた、口腔病理学研究者養成のための履修モデルの一例と、履修課程の一部で取り入れる学習課程を複数の科目などを通して体系的に履修するシステム「コースワーク」の一例を示します。コースワークの実践により、病態研究方法の導入法や思考方法を習得でき、学位取得後、当該諸国の実情にあった研究課題の発見、遂行、指導などを効果的に行いうることが期待されます。

履修モデルとコースワークの一例

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