平成15年度研究計画

 

1.連携体制

1)要介護者口腔ケア関係者連絡協議会の開催
 要介護者の口腔保健医療ケアを円滑に実施していくための幅広い関係者の連携を確保するため、新発田・北蒲原地区の関係者からなる連絡協議会を組織する。
 本年度は計3回の開催を予定する。
 ・第1回 10月6日
 ・第2回 12月頃を予定(第1回に引き続き連携推進方策について協議)
 ・第3回 2月頃を予定(平成15年度研究結果概要報告)

2)要介護者口腔ケア関係者研修会の開催および介護関係者口腔ケア・マニュアル作成
 口腔ケアおよび摂食・嚥下機能障害者への間接訓練・食事介助等に関する一歩進んだ内容の要介護者口腔ケア関係者研修会を開催する。併せて職種別のグループに分かれたワークショップを行い、現状や課題を明らかにする。
  研修会参加者のなかから代表者を募り、自分たちが使いやすい・理解しやすい介護関係者用口腔ケア・マニュアルを作成する。

【要介護者口腔ケア関係者研修会】
 日時:12月11日(木) 10:00〜16:00
 会場:新発田市生涯学習センター
 内容:講演/「訪問口腔ケアの実際」(講師/山梨県歯科衛生士会 牛山京子会長)
     実技講習/「摂食・嚥下機能障害者に対する間接的訓練および食事介助法」
     ワークショップ/「それぞれの立場における口腔ケアについて」
 対象:介護支援専門員、施設介護職員、看護師、訪問介護員、
     市町村職員、歯科衛生士等

【介護関係者口腔ケア・マニュアル作成】
 研修会参加者を中心とした代表者によるワークショップを開催(2回)し、2種類の介護関係者用口腔ケア・マニュアルを作成する。
 (1)口腔領域の疾病・障害の基本的理解と対応上の留意事項を中心としたマニュアル
   (主な対象:ケア・マネージャー、保健師・看護師)
 (2)基本的な口腔清掃および間接訓練・食事介助に関するマニュアル
   (主な対象:訪問介護員、施設介護職員)

3)入院中および退院患者への口腔ケア・治療の促進
 県立新発田病院の協力のもと、同病院の看護師に対し、口腔ケアなどに関する研修を実施し、入院中の患者および退院時指導の際に、口腔ケアに関する指導を実施してもらう。
 併せて、退院時指導の際、歯科治療等が必要だと思われる患者については、かかりつけ歯科医での治療又は要介護者歯科保健推進事業の利用を勧奨してもらう。
 その効果測定として、退院患者を対象に口腔ケアの実施状況、歯科受療の状況等に関するアンケート調査を実施する。

<実施スケジュール>
10月中 看護師を対象とした口腔ケア研修会の実施
11〜12月 入院中および退院患者への口腔ケア指導の実施
1〜2月 退院患者を対象としたアンケート調査を実施
 

2.情報ネットワーク

1)要介護者の口腔ケアに関する情報提供ホームページの作成
 要介護者の口腔ケアを進めるために必要な情報を提供するホームページを作成、公開する。

<ホームページの内容(案)>
 ・ 本研究の報告書、研修会等の資料、講演内容 等
 ・ 要介護者歯科保健事業実施要項、申込書様式、連絡先一覧 等
 ・ 口腔ケア総合マニュアル(新潟県歯科医師会作成)等
 ・ その他、各種研修会開催のお知らせ 等

2)関係者グループインタビューの継続実施
  昨年に引き続き、グループインタビューを実施し、情報連携モデル事業(次項)の実施内容の検討および結果評価を行う。なお、関係者グループインタビューには情報連携モデル事業の町担当者も加える。

<開催スケジュール>
10月中 第1回開催 共有すべき情報の整理、情報提供書様式の検討など
2月中 第2回開催 情報連携モデル事業の評価


3)情報連携モデル事業の実施

 口腔ケアに関し関係者間で共有すべき情報の内容および流れを実態に基づいて把握するために、紫雲寺町および中条町在住の在宅要介護者8〜10名を対象として、紙媒体による情報提供書(申し送り票)を使用した情報連携モデル事業を実施する。

■対象/紫雲寺町および中条町在住の在宅要介護者8〜10名
      (ケア・マネージャー、歯科医師等の関係者のチームを考慮して選定)

■方法/対象者の口腔ケアに関する情報(情報提供書)を居宅に配置したファイル又はファックスを通じてやり取りし、その内容及び情報の流れを解析する。調査終了時点で関係者に対し、意識調査を実施する。

■実施期間/10月下旬〜1月下旬
 

3.工程表

1)クリニカルパス(工程表)の原案作成と周知・意見募集
 外部有識者、現場担当者等を加えた作成委員会を組織し、現在、研究班内で作成しているたたき台をもとに、クリニカルパス(工程表)原案を作成する。これを連絡協議会、研修会等を通じて周知するとともに、改善点に関する意見を募集する。

<実施スケジュール>
11〜12月 作成委員会において原案を作成
1〜2月 連絡協議会、研修会等を通じ周知、意見募集

2)介入研究の結果評価・分析
  1. 義歯治療介入研究(調査実施中)
   対象者:30名(施設18名 在宅12名)
   治療中:10名(施設 9名 在宅 1名)
   治療終了:14名(施設 8名 在宅 6名)
   調査終了:6名(施設 1名 在宅 5名)
   ※12月中には全ての最終評価も終了する予定。

  2. 口腔ケア介入研究
   開始時対象者:70名(施設40名 在宅30名)
   終了時対象者:61名(施設35名 在宅26名)
   ※効果判定の調査を10月3日に終了。今後、集計・解析する。

3)訪問歯科診療・口腔ケアに関する歯科医師ならびに要介護者・介護関係者の意向調査
 昨年度実施した実態調査およびグループインタビュー等により、訪問診療・口腔ケアに関する歯科医師、要介護者(患者)、介護関係者間の意識のずれや、要介護者側の需要と供給側のギャップなどの存在が明らかになったため、これら関係者を対象とした個別面接調査を実施し、訪問歯科診療等の普及の阻害要因を明らかにする。

■対象/昨年度実施した訪問実態調査の対象者の中から協力の得られた者を対象とする。
      ・訪問歯科診療受診者(家族)と担当歯科医師、ケア・マネ 各5名程度
      ・未受診者(家族)と担当ケア・マネ                各5名程度

■方法/各対象者別に作成した質問項目をもとに個別面接調査を行い、自由に意見を述べてもらう。これをすべて記録し、質的評価手法を用いて分析する。

■質問項目/歯科治療等に対する認識、関係者に対する要望 等

■実施時期/10月末〜12月

4)デイサービス利用者・施設入所者への間接的訓練を含む口腔ケアの効果測定
 施設介護職員等が実施する簡便な間接的訓練(舌のストレッチや、口腔周囲筋のマッサージなど)の効果を判定するため、デイサービス利用者・施設入所者を対象に間接訓練を含めた口腔ケアを実施し、口腔内状況、舌運動機能、発語状況などの改善状況を評価する。
 また、本調査の実施により、施設関係者への簡便な間接的訓練を含む口腔ケアの普及を目指す。
 
■対象施設/10施設程度を予定

■対象者/
 デイサービス利用者・施設入所者を対象とし、協力施設毎に下記の2群に割り付ける。
       1. 口腔ケアのみ群                40名(1施設8名程度)
       2. 口腔ケア+簡便な間接的訓練実施群  40名(1施設8名程度)

■方法/
 まず、協力の得られた施設を対象に、歯科健診および口腔ケア等に関する研修を実施する。その際には地元歯科医師会からも担当歯科医師を決定・同行してもらう。
 健診の結果、早急に歯科治療が必要であると診断された者に関しては、施設の担当医あるいは、要介護者歯科保健推進事業を通して歯科医院との連携を図る。
 健診受診者の中から痴呆がない者等条件に合う者を効果判定の対象者とする。
 施設職員に口腔ケアおよび簡便な間接的訓練を実施してもらい、開始時と3か月後の効果測定を行う。

■効果測定項目/口腔ケアの効果(細菌、口臭、歯肉出血、舌苔など)
            簡便な間接的訓練の効果(舌運動機能検査、意識調査等)

■実施時期/10月下旬より順次実施する

 
 

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