アセスメントを行い、ニーズを抽出し、居宅サービス計画中に、歯科的サービスである訪問歯科診療、居宅療養管理指導は位置づけられる。
しかし現実的には、訪問歯科診療や居宅療養管理指導が居宅サービス計画に位置づけられる事は少ない。
その理由として、まず第一にアセスメントからニーズを導き出す時、口腔ケアを問題化する事が少なく、導き出されていない現状がある。
<例>
ニーズ ・・・ 嚥下困難な為、食事摂取が思うように出来ない
↓
目 標 ・・・ 安定した食事摂取の確保
↓
プラン ・・・ 食事内容の見直し (きざみ食・トロミ食・ゼリー食)の試行
<カンファレンス>
本人、家族の他、医療職、介護職等多職種、多機関によって行われるが、現実的には医師と連携が取りにくく参加も難しい。カンファレンスで歯科の問題が取り上げられる事は少ない。
例では生命維持の為の食事摂取の確保を取り上げているが、口腔ケアからの視点が無い。この様なパターンが多いのではないかと想像する。
口腔ケアは、身体的状況、心理的状況、社会的状況にも繋がっている問題ではあるが、優先順位で他のニーズより後回しになったり、取り上げなかったりまた、見逃している事も多いと考えられる。
目の前の解決しなければならない問題が多々あり、ついそれらが優先されてしまう。
口腔ケアは、症状が顕著であればすぐに訪問歯科診療に繋げ、完結する事もあるが、だいたいは後回しになる事が多い。仮に放置していても、問題として見えにくい部分とも言えるのではないだろうか。
第二に、家族の口腔ケアに対する意識の低さも関係しているかと思われる。
日常生活介護、金銭的な問題、家族の介護負担の重さ等々、日々の介護に追われ、口腔内まで見ていられないといった場合や、歯科の問題が誤嚥性肺炎や摂食障害等を引き起こす事等、知らない場合も結構多いと思われる。
ある家で本人の歯肉から出血が見られたので、家族に訪問歯科診療を勧めたところ、「年齢がいけば、歯も腐るし、出血もするだろう。面倒だからそのままにしておいて欲しい。」と、言われた事がある。また喋る度に義歯がパカパカと外れるので咀嚼力の重要性を説明し、本人、家族に義歯の調整を勧めると「いざとなれば歯茎で食べるからいい。入れ歯は葬式用にとっておく。」と、真顔で言われた事もある。この様な家は以外と多い。
第一、二の理由から、訪問歯科診療、居宅療養管理指導が、居宅サービス計画に反映されにくい原因になっているのではないかと思われる。 |