|口腔ケアの重要性とポイント|口腔清掃摂食・嚥下障害について誤嚥性肺炎

 

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1.訪問歯科診療や介護保険制度が始まって分かったこと

 普通、歯科治療や歯科保健指導の目的と言えば、むし歯や歯周病の治療、抜歯等の外科処置、入れ歯などの補綴処置を含め、歯や歯肉を中心とした「口腔という部分的な器官」のみの機能改善・維持、疾病予防を指すことが多い。
 ところが訪問歯科診療や介護保険制度が始まり、高齢者や障害のある人に接する機会が増えるにつれて、健常者を診療する際見落とし勝ちだった口腔機能と全身との関係について、特に要介護者の場合は、口の果たす役割が全身状態に大きく影響を及ぼすことを深く認識するようになった。
 歯科医院への通院が困難な要介護者の口腔内は、ほとんどが悲惨な状況である。歯や歯肉の痛み、入れ歯が無いため食事が困難だった要介護者にとって、歯科の介入(訪問歯科診療や居宅療養管理指導)により少しでも食事摂取が可能になると、全身状況が一変する例もある。
 要介護者自身が、本能である「食」やコミニュケーションの基本である「会話」といった口腔機能を取り戻し、それらを日常生活の中で活かし楽しむことができれば、残された人生への希望が生じ、QOLの維持・向上に直結してくる。こうした事実を、歯科関係者のみならず、要介護者へのサービス提供に携わる医療・保健・福祉職は理解しておく必要があろう。

 


 

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