口腔ケアの重要性とポイント|口腔清掃|摂食・嚥下障害について誤嚥性肺炎

 

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1.歯科治療の必要性

 要介護者の主訴が以下のような内容であったり、口腔内の状態が次の項目に当てはまる場合には、歯科医師の診断を仰ぐことが必要です。

(1) 痛み
 痛みがあれば何らかの病変が疑われます。次のような特徴的な症状があると、その疾病による痛みと考えられますが、口腔内には一目診ただけでは解らない痛みも多く有ります。特に急性の強い痛みが生じた場合は、高齢者の気力・体力を減退させますので早めの対応が必要です。
 

症   状 考えられる原因
・ 歯に大きな穴があいている
・ 冷たいものや熱いものにしみる
・ 歯が欠け、角張ったところに舌や頬があたって痛い
むし歯
・ 歯がぐらぐらして噛む度に痛い
・ 歯肉が赤くはれ、時々出血したり膿が出る
歯周病・歯周病・むし歯
・ 入れ歯があたって痛い、傷がある
・ 入れ歯の針金が歯肉や頬にあたる
入れ歯

(2) 出血
 歯を磨くたびに出血する場合や、つねに口腔内に出血がある場合は、下記のような疾病が原因と考えられますので、早急な処置が必要です。
  ・ 重度の歯周病
  ・ 入れ歯やむし歯などによる深い傷(潰瘍)
  ・ 全身性の出血疾患による口腔粘膜からの出血

(3) 噛む事ができない
 これまでに訪問歯科診療の機会に恵まれなかったりして、入れ歯が無くて噛めない状態が続いていた要介護者は多いようです。本人に噛むという意志があり、顎を動かす筋肉がしっかりしていると、入れ歯の製作は可能です。入れ歯によって咀嚼能力が回復してくれば、ADLが高まり、さらにQOLの向上にもつながります。
 また、発音の改善にもつながり、意志の疎通やコミュニケーションの回復にもなります。

(4) 口の中が乾燥している
 老化による唾液分泌機能の低下や、薬の副作用、水分摂取不足や発熱による脱水などにより、唾液の分泌が少なくなり口の中が乾燥してくると、食事が取りにくくなり、唾液や食べ物が飲み込みにくい、義歯が会わない・痛い、話しにくいなどの様ような訴えが聞かれます。

(5) 歯科治療をすると
 たとえば、長年入れ歯を入れていなかった方に、新たに入れ歯を入れた場合、まず口元が綺麗になり、顔が明るく、若返ります。次に発音が明瞭になり、コミュニケーションが取り易くなります。さらに、意識障害・覚醒状態が改善したり、ビックリするような変化をするケースがあります。
 口腔清掃や歯科治療に積極的に取り組むと、ADLの改善、QOLの向上ににつながります。

 

 

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