口腔ケアの重要性とポイント口腔清掃摂食・嚥下障害について|誤嚥性肺炎|

 

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2.誤嚥性肺炎の機序

 macro-aspirationの場合には、口腔細菌および口腔に定着している外来の細菌を、食塊などとともに下気道に吸引することにより、感染を引き起こします。
 一方、micro-aspirationの場合には、咽頭に定着している口腔細菌あるいは外来の細菌が、自然落下により下気道に移動することにより、感染が成立します。健常人においても、睡眠中は約50%にmicro-aspirationが起こっているといわれていますが、繊毛運動による排除あるいは粘膜表面の免疫機能により、感染にはいたりません。(図1)

図1 誤嚥性肺炎発症における細菌の感染経路  文献(1)より引用

 

 しかし、免疫機能が低下した個体においては、十分な排除機構が働かないため、下気道への感染が成立することになります。また、肺にまで細菌が侵入したとしても、ここでの免疫機能が十分に働いていれば、発症を防ぐことも可能です。しかし、免疫機能の低下した寝たきり高齢者のような人々は、発症することとなります。(図2)
 このように、誤嚥性肺炎の発症において、歯肉線上および歯肉縁下プラークの働きは非常に重要となります。

図2 高齢者肺炎の発症要因  文献(2)より引用

 
 

 

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