実施状況

大学院スキルアップセミナー『研究者人生双六講義』開催報告

平成22年8月6日(金) 16:30~18:00、歯学部小会議室において、大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)事業の一環として、独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 象徴概念発達研究チームのチームリーダーである入來篤史先生をお招きし「研究者人生双六講義」と題してスキルアップセミナーが開催された。当日の参加者は本セミナーの対象の大学院生19名に加え、大学院進学を志す研修医と教員の席も追加する盛況となった。

研究者としての道を踏み出したばかりの大学院生に対し、研究者のあるべき姿について語られる機会は少ないように思われる。学生は常日頃、身近な指導者の研究者としての行動を見てはいるが、それは比較的狭い範囲に限られる。入來先生は歯科医であり、現職以外にも複数の国内外の大学の客員教授を務められている。そのような世界的に超一流の研究者にお話しいただくことは、大学院生にとって貴重な財産となると考え、このセミナーを企画した。

セミナーでは研究者とは何か、歯学出身の研究者が堂々と生きるための心構えを語る、という事前抄録に基づき、まず始めに入來先生のこれまでの研究経歴が紹介された。年代毎に研究テーマ、業績、恩師から学んだこと等をお話しされ、そこから研究者が若いうちにすべきこと、与えられたテーマを一所懸命に研究することの意義、常に挑戦することの重要性を示された。

また、「~にしては(例:学生にしては良い研究をしている)」と周囲の人から言われないよう努力を続けてきたという表現を使われ、視野が歯科・専門領域のみに狭くなりがちな学生に、広い視野で研究について考察するという行為の原動力となったと思われる。

セミナー後、大学院生から何点か質問があり、その回答の中で強調されたことは、経験や業績などの実績を若いうちに多く蓄積し、積極的に好機をとらえようと心がけること。すると自然に好機が多く訪れて、選択肢も自ずと増える、ということである。入來先生の過去と現在の研究内容を踏まえた上での言葉には大変説得力があり、大学院生の記憶に残るセミナーとなったと考える。