実施報告

国際口腔生命科学コース教育プロジェクト 教育研究指導打合せ及び現地調査報告書

出張期間:
平成18年12月7日(木)〜12月13日(水)
出張先:
ペラデニア大学歯学部(スリランカ民主社会主義共和国)
出張者:
(教員)前田健康 教授、 宮崎秀夫 教授、齋藤功 教授
(事務)増子哲雄(学務課長)、石田修(学務課総務第三係長)
先方対応者:
Prof. H. Abeygunawardena氏(副学長)
Prof. R. L. Wijeyeweera氏(歯学部長)
Prof. Mrs. C. D. Nanayakkara氏(基礎科学講座長)
Dr. K. S. N. Ariyasinghe氏(講師、元留学生)
Dr. H. D. N. Amarasena氏(講師、元留学生)
Dr. Mrs. J. K. C. Amarasena氏(講師、元留学生)
ほか

新潟大学大学院医歯学系総合研究科口腔生命科学専攻の「国際口腔生命科学コース」は、アジア地域社会への貢献、すなわち経済的要因、歯学教育標準化の遅れ、研究環境の格差による帰国留学生の活躍の場の不足ならびに劣悪な口腔内環境などに対応した人材を養成するために設置された。

交流拠点大学として協定を取り交わしたペラデニア大学歯学部(スリランカ民主社会主義共和国)から、平成18年度に1名の入学を認め、4月から口腔解剖学分野で研究指導を行っている。

なお、本プロジェクトの実施経費はその一部を、平成17年度「魅力ある大学院教育イニシアティブ」に採択された「留学生大学院教育の実質化による国際貢献」より、補助されている。

本年度は昨年度の調査結果を踏まえ、以下の項目について教育研究指導打合せ及び現地調査を行った。

調査項目

  1. 本学での研究指導の状況について報告
  2. 2年次以降の教育プログラム推進協議
  3. 拠点校の教育研究の状況(ソフト面)
  4. 今後の学生募集に関する打合せ
  5. 拠点校の設備の状況(ハード面)
  6. 拠点校の環境整備に関する打合せ
  7. e-Learning の動作確認
  8. その他

1.本学での研究指導の状況について報告

平成18年4月より新潟大学大学院医歯学系総合研究科口腔生命科学専攻国際口腔生命科学コースに入学した1名の学生について、1年次における教育研究指導の状況を、拠点大学教員に対し報告をおこなった。

(当該学生の1年次における履修科目)

専攻共通科目
口腔生命科学研究論(必修)
電気生理学演習(選択必修)
形態解析学演習(選択必修)
専攻個別科目
組織細胞化学演習(コースワーク)
神経科学演習(コースワーク)
顎口腔構造学演習(コースワーク)
顎口腔解剖学(選択科目)
研究科解説科目 顎口腔運動機能学
学生の教育研究については順調に進行しており、特に今年度新設した新たな履修システム「コースワーク」は今後の研究を進める上でも効果的であることを報告した。

2.2年次以降の教育プログラム推進協議

2年次以降におけるe-learningを活用した所属専攻個別科目の教育研究方法と、拠点大学における教育研究補助の方法について、帰国後の研究テーマ、指導担当教員、補助担当教員の確認と役割分担等について協議を行った。

3.拠点校の教育研究の状況(ソフト面)

ペラデニア大学における財政状況の現状、大学院の教育システム、研究者育成システムについて説明をうけた。

4.今後の学生募集に関する打合せ

以上の新潟大学における現況を説明した後、今後の学生募集について打合せをおこなった。平成19年度4月入学を希望する者はいなかったが、10月からの入学を希望する者があったので、スケジュールについて打合せを行った。また、臨床系の分野でも本事業への関心が高く、特に研究活動について熱心な質疑があった後、再度、ペラデニア大学内の各分野に入学希望者の照会を行うことになった。

今後の学生募集に関する打合せ

5.拠点校の設備の状況(ハード面)

学生教育用の環境について調査を行った。顕微鏡などの光学機器を用いた実習が行われていたが十分な数が確保されておらず、複数人で1台を共用して実施されていた。

拠点校の設備の状況1

視覚教材についても、OHPを用いた教材がいまだ主流であり、液晶プロジェクターとパワーポイント等を利用した効果的な教材開発を行いたいとの要望は強いが、スリランカ国内での機器購入・整備は困難であるとのことであった。

拠点校の設備の状況2

6.拠点校の環境整備に関する打合せ

拠点校の現状を調査した上で、国際口腔生命科学コース在籍学生の2年次以降における教育研究環境及び教材の整備について打合せを行った。

新潟大学での教育研究環境を拠点校に輸出する際の問題点、スリランカで機器を購入する際の問題点、メンテナンスする際の問題点、などについて議論を交わした。

拠点校の環境整備に関する打合せ

7.e-Learningの動作確認

ペラデニア大学の研究室に設置されたPCを使用し、新潟大学歯学部のe-Learningサーバーへ接続した。ログイン後、e-Learningシステム上の各ツールについて動作確認を行った。現状では、ネットワーク速度が十分高速とはいえないが、ペラデニア大学のネットワーク設備は近々より高速なものへ更新予定との情報を得たので、実用に耐えうる応答速度が得られものと期待される。

8.その他

臨床施設の調査をおこなった。設備は十分とはいえないが、スリランカにおける唯一の歯学部でありその附属病院であることから、患者数も多く、豊富な症例データが入手可能と思われる。

その他

スリランカの治安情勢悪化に伴い、訪問スケジュールの調整に手間取ったが、ペラデニア大学からは、国際口腔生命科学コースのプログラムについて協力的で、拠点大学として近隣アジア諸国とも連携し、今後も事業継続への強い意欲が感じられた。

訪問先

  • スリランカ ペラデニア大学
  • Faculty of Dental sciences, University of Peradeniya, Peradeniya, 20400 Sri Lanka
  • Fax 094−81−2388948
  • E-mail ardental@pdn.ac.lk
  • Telephone Office and All Departments
  • 094−81−2387500, 2387502 to 506

スリランカ ペラデニア大学

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