実施報告

「留学生大学院教育の実質化(国際口腔生命科学コース)」に関連した米国3大学視察について

出張期間:
平成18年1月29日(日)〜2月4日(土)
出張先:
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)
カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)
南カリフォルニア大学(USC)
出張者:
教員2名(齋藤 功 教授および藤井規孝 講師)
先方対応者:
1.UCSF(1月30日 11:00〜):
Karin Vargervik(歯科矯正学分野および顎顔面先天異常分野教授)、Caroline Damsky(教育担当学部長)、Grayson Marshall(大学院教育プログラム主任;生体材料・生体工学分野主任教授)
2.UCLA(2月1日 13:00〜):
George Bernard(Oral Biology分野名誉教授)および大学院教育プログラム担当学務係
3.USC(2月2日 9:00〜):
Charles Shuler(教育担当副学部長兼Craniofacial Biology分野大学院教育担当主任)

大学院博士課程(PhD program)の概要

1.UCSF(資料1−3):
歯学部には5つのルート(資料2)があり、このうち歯科医師の資格取得と同時に大学院プログラムも受講できるルート(DDS/PhD)では、歯学部教育(歯科医師;DDSになるための教育)を含めて修得に必要な年限をおよそ7年と定めている。しかし、選択する研究プロジェクトによりPhD取得までの年限は多少異なっているとのこと。大学院のプログラムは四半期ごとに組まれ(Spring, Summer, Fall and Winter-Course)、研究に必要な基礎事項が修得できるよういくつかのコースにより構成され、また、最終的に所属研究室を決める前に各研究室をローテーションできるよう配慮されている(資料3)。評価は、指導教員を含む大学院教育担当教員5名により1年ごとに行われ、最終判定は指導教員を含む4人の教員で構成される学位審査委員会(Thesis Committee)により行われている。

Prof. Karin Vargevikと
Prof. Karin Vargervikと

2.UCLA(資料4、5):
UCSFとほぼ同様のシステムで行われている。PhD取得までには4−5年を要し、コースワークの受講が義務付けられ、評価はコースワーク受講後PhD課程進学のための資格試験、中間試験、学位論文の提出および最終口頭試問により行われている。コースワークでは、5つのコアコースの受講が必須で、DDS/PhDを目指す学生の場合には4、5年次にコアコースを受講することになり、また、研究領域が決まった後、指導教員の指示に従って選択コースの中から1コースを選択する。各研究室へのローテーションは1年次に行われ、修了までに、1四半期間ティーチングアシスタントして教員をサポートしながら教育経験を積まなければない。

UCLAの歯学研究棟前で
UCLAの歯学研究棟前で

3.USC(資料6):
PhDのプログラムの根幹は30年前に作成されたとのことであったが、現在のプログラムは上記二校とほぼ同様である。コースワーキングは、4つのコアコースと4つの選択コースとから成り、コアコースでは歯学系のみならず、医学系、工学系など他領域専攻の大学院生とともに学習することになっている。PhDプログラムは、選択する研究領域で多少異なるが約5年間となっており、コースワーキングは最初の2年間で修得し、残り3年間(平均)は選択した研究室で研究に携わる。評価は他大学と同様に、まずコアコース終了後資格試験を課し、合格したものがその後の課程へ進むことになる。研究中の評価は、第一段階として筆記試験と研究プロトコールの審査により、また、第二段階として学位論文と学術雑誌へ投稿した2−3編の論文を基に、指導教員を委員長とし、学内2名、学外2名の5名から成る学位審査委員会によって行われる。Biomedical and BiologicalのPhDプログラムを選択している学生数は現在24名で、通常一学年3−5名とのことであった。さらに、プログラムは7年ごとに外部評価委員会により評価され、必要に応じて見直しが図られている。

Prof. Charles Shulerと
Prof. Charles Shulerと

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