実施報告

平成23年度における国際口腔生命科学コースの活動報告

ガジャマダ大学で研究論文指導・助言

2011年9月30日、1年生Lisdrianto Hanindriyo氏は、研究テーマであるLongitudinal relationship between periodontal disease and cardiovascular disease involving serum lipid concentration in the community-dwelling elderlyに関するデータ解析をほぼ終了し、1年間の新潟大学での研究生活から一旦区切りをつけ、本コースの2年目にあたる10月1日から当初の予定通りガジャマダ大学歯学部に戻り、研究成果をまとめ論文投稿準備を行うこととなった。2012年3月までに、インターネット利用により指導・助言が繰り返し実施され、以下の結果を軸とする投稿原稿を完成させた。

新潟高齢者スタディーの対象者について、75歳(2003年)データをベースラインとし、80歳までの5年間での心疾患イベント発生について解析した。

80歳までの5年間に心電図異常が出現した35名は、正常を維持した42名に対して、75歳時のBMI(高い)、血清LDLコレステロール(低い)、血清総脂肪(低い)、歯周病(悪い)の4項目に有意差が認められた。

さらに、5年間の心電図異常の出現についてロジスティック回帰分析を行った結果、歯周状態の悪さが2.97のオッズを示し、同時に、血清LDLコレステロールがオッズ比0.96、BMIが比1.22となった。すなわち、75歳時点で歯周病状態が悪い人は80歳までに心電図異常が出現する危険度は、比較的歯周健康状態が良い人に対して約3倍に上ることが示された。

平成24年度における国際口腔生命科学コースの活動報告

ガジャマダ大学での研究論文指導・助言およびインドネシア大学訪問

2012年4月からは、投稿する国際誌の選択を協議し、書式を整えた後に、The relationship among periodontal condition, serum lipid, and cardiovascular disease in the elderlyの題名にて投稿を行った。その後、投稿先の編集長から複数の査読者の疑問、批判あるいは助言に対して回答を要求されたために、インターネットにより指導者とHanindriyo氏との間で度重なる文書のやり取りが行われた。

2012年7月31日〜8月1日の期間、予防歯科学分野の宮崎秀夫教授がガジャマダ大学歯学部を訪問し、修正投稿用の原稿および結果の図表を完成させるために、Hanindriyo氏への指導を行った(写真1)。

写真1
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また、宮崎秀夫教授はガジャマダ大学Iwa Sutardjo歯学部長を訪問し、Hanindriyo氏の研究進捗状況を報告すると共に、今後の研究協力、合同シンポジウムの開催、学部学生および教員のエクスチェンジプログラムに関して意見交換を行った。さらに、ガジャマダ大学訪問に先立ち、7月30日にインドネシア大学を訪問し、国際口腔生命科学コースを修了したBramma Kiswanjaya氏(第2期生)の次なる研究論文の進捗状況を確認した。また、インドネシア大学歯学部長Bambang Irawan教授と今後の研究協力、合同シンポジウムの開催、学部学生および教員のエクスチェンジプログラム、国際口腔生命科学コースの候補者などに関して意見交換を行った。

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