新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔生命科学専攻 口腔健康科学講座 顎顔面口腔外科学分野

疾患と治療

口腔外科では、抜歯に代表される歯科領域の外科的処置を担当していますが、顎顔面口腔領域に発生する疾患全てについて、正確な診断の上に立ち適切な処置を施行することが求められるため、 広い知識と経験が求められます。当科は、(社)日本口腔外科学会の認定指導施設(1012号)として、数名の指導医の監督下で診断・治療を行うとともに、専門医、認定医を育成しております。

※取り扱っている疾患
(詳細は口腔外科学会HPを参照ください。https://www.jsoms.or.jp/public/disease/)

対象疾患

  • 顎顔面口腔領域の先天異常(口唇裂・口蓋裂など)
  • 顎顔面口腔領域の腫瘍
  • 顎関節疾患
  • 顎変形症
  • インプラント前処置としての歯槽骨形成
  • 歯およびその周囲の疾患
  • 顎顔面口腔領域の炎症
  • 顎顔面口腔領域の嚢胞
  • 顎顔面口腔領域の外傷
  • 唾液腺疾患
  • 口腔粘膜疾患
  • 顎顔面口腔領域に症状のみられる血液疾患
  • 顎顔面口腔領域の神経疾患

専門分野詳細

口腔腫瘍

顎顔面領域に発生する腫瘍性疾患は良性腫瘍から前がん病変、口腔がんなどその性格は多岐にわたり、まずは正確な診断を下し、適切な処置を適切な時期に行う事が大切です。 そのために、口腔病理診断科、歯科放射線科等の先生方と診断を行うとともに、歯科麻酔科および医科の形成外科、放射線科をはじめとする多くの科の先生方と協力し、適切な診断と治療を行っています。なお、当科には日本がん治療認定医機構が認定するがん治療認定医(歯科口腔外科)が在籍し、日本口腔腫瘍学会の研修施設として認定されています。

口唇口蓋裂

先天奇形である唇顎口蓋裂に対するHotz床(哺乳床)併用二段階口蓋形成法による集学的管理体制が、1982年から大橋靖教授を中心として開始され、1989年からは歯科全体のチーム医療(各専門分野の先生がそれぞれの専門性を生かして協力して治療にあたる)に広がり、現在でも継続されています。

2017年4月からは、医科と歯科が連携して口唇裂・口蓋裂患者さんの一貫治療にあたることとなり、形成外科、耳鼻咽喉科、口腔再建外科、言語治療室、摂食嚥下リハビリテーション科、矯正歯科、小児歯科、予防歯科とともに、集学的治療を行っております。当科は、Hotz床に始まり、軟口蓋、硬口蓋、顎堤部の手術を担当しており、出生から成人までお付き合いさせていただいています。

顎関節疾患

医歯学総合病院では顎口腔インプラント治療部と、各診療室の協力のもと顎関節症を中心とする顎関節疾患の診断(週1回の合同症例検討会)と治療を行っております。当科では、顎関節疾患全体の外科的対応を中心に担当し、顎関節部の外科処置(腫瘍、習慣性脱臼など)、関節腔への針による穿刺療法(腔内洗浄、薬液注入、等)など、より専門性の高い治療も行っております。顎外科および顎口腔インプラント治療部ともに顎関節学会認定の指導医が在籍し、研修施設に認定されています。

顎変形症

上下の歯のかみ合わせが悪かったり、あごが曲がっていたりで、矯正治療のみでは、十分な改善が見込まれない場合には、あごの骨を手術により移動させることにより、かみ合わせや顔貌を改善させることが可能となります。治療においては、歯の矯正治療を行う矯正歯科診療室の協力体制と綿密な検討のもとで手術を行っています。顎変形症治療は近年では超音波切削器具の使用や術前3Dシミュレーションなど、治療成績を向上させ、より患者さんの希望に沿った治療を行うべく、低侵襲で安全な手術が行えるよう日々研究を行っています。

顎顔面外傷

顔面や歯を含めた口腔組織への外傷、上下顎骨の骨折に対して治療を行います。交通外傷などにより、顔面の広範囲の治療が必要になる場合は、形成外科や眼科とともに合同手術も行います。

顎堤形成術・インプラント

当科で行うインプラント治療では、一般的な埋入の他に、歯槽骨が不足している症例や顎骨切除再建後の顎骨再建等の通常の埋入では治療困難な症例についても対応しています。特に、上顎臼歯部の歯槽骨が比較的多く不足している症例では、上顎洞挙上術(サイナスリフト)を行う際に、腸骨または培養骨膜を使用した骨増生を積極的に行っています。