恵まれた環境で、ともに学ぼう
新潟大学歯学部は昭和40(1965)年、3番目の国立大学歯学部として設置されました。歯学部の位置する新潟県は南北に長い海岸線をもち、また山々に囲まれた四季の明瞭な自然豊かな土地です。四季明瞭で豊かな自然はコシヒカリ、お魚、お酒に代表される食材をもたらし、それと共に発展してきた豊かな食文化をもっています。私たちは口腔の健康を『「食べる」、「飲み込む」、「話す」、「表情を作る」などの「人として生きて行くために必要な機能の回復・維持にある」』と考え、教育、研究、診療、さらには社会貢献に力を注いでいます。
歯学部設置当時は歯科医師不足とむし歯の洪水で、地域歯科医療に貢献できる人材、いわゆるdrill、fill、built(歯を削って、詰めて、かぶせる)のできる人材の育成が求められていました。時の経過と共に、社会情勢は大きく変わり、我が国は超高齢社会となり、歯科医療も健常者型から高齢者型への転換が求められ、健康寿命の延伸が国家政策となっています。
超高齢社会の到来に備え、新潟大学歯学部は6年制の歯科医師養成コースの歯学科に加え、平成16(2004)年に全国で初めて4年制の口腔生命福祉学科を設置しました。口腔生命福祉学科は超高齢社会を迎えるなかでその必要性が高まっている、「食べる」ことや口腔機能の維持向上という視点から保健・医療・福祉を総合的にマネジメントできる専門家を養成することを目的としており、卒業により歯科衛生士と社会福祉士の2つの国家試験受験資格を取得できるカリキュラムを提供しています。
歯学教育は、むし歯の処置や抜歯など技術教育の比重が高く、また、その技術を裏付ける知識が不可欠です。また、卒前に実際の患者様での臨床実習を行うため、社会に貢献する歯科医師として求められる知識・技術・態度の3つを効果的・一体的に学べるよう教育カリキュラム改革に取り組んできました。これらカリキュラムの改善には各種競争的外部資金を獲得し、学士課程から大学院課程まで教育改善を進めると共に、平成27(2015)年には歯学部校舎の大型改修工事の竣工、教育機器・施設の更新・導入により、ソフトおよびハード面でも、我が国で最先端の教育研究機関となりました。さらに平成24(2013)年度には文部科学省事業「大学間共同教育連携推進事業」にも採択され、PBLチュートリアル、統合型模型実習、診療実践型の臨床実習の実施等、国内外の人材養成のモデルになっています。
大学院医歯学総合研究科には口腔生命科学専攻及び口腔生命福祉学専攻(博士前期・後期課程)を設置し、保健・医療・福祉を統合した学際的研究を推進しています。また、「魅力ある大学院教育イニシアチブ」、「大学院教育改革支援プログラム」、「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」等に採択されるなど、大学院教育の改善を進め、国際性のある研究者、高度医療専門職業人の育成にあたっています。
また、新潟大学歯学部ではグローバル社会で活躍できる人材育成を目的として、学部学生の短期海外留学を積極的に奨励・支援するとともに、諸外国からの短期留学生を受け入れ、国際的視野を持つ人材育成に努めています。新潟大学歯学部では、これからも口腔や食べることの視点から包括的な医療人を養成し、社会に貢献できる人材を提供していきます。“すべての人の健康と質の高い生活を実現する”そのような志をもった学生諸君を待っています。
新潟大学歯学部長
井上 誠