生体組織再生工学分野の泉健次教授、口腔病理学分野の田沼順一教授らが、光干渉断層撮影による口腔がんのがん細胞浸潤を可視化しました

2026年02月27日 トピックス 研究結果

医歯学総合病院口腔再建外科の羽賀健太歯科医師、生体組織再生工学分野の泉健次教授、口腔病理学分野の田沼順一教授らの共同研究グループと株式会社SCREENホールディングス(本社:京都市上京区)は、がん関連線維芽細胞を組み込んで腫瘍微小環境(注1)を再現した口腔がん3次元(3D)モデル(注2)に対し、光干渉断層撮影(OCT)(注3)を用いて口腔がん細胞の浸潤動態を可視化し、非侵襲的に観察することに成功しました。得られた画像について深層学習(注4)を行い、口腔がんの経時的浸潤動態を数値化しました。本システムは口腔がん細胞浸潤の非侵襲的・定量的評価を可能にし、繰り返し観察が行える有望なツールになることが期待されます。本研究成果は、2025年11月27日、学術誌『Scientific Reports』にオンラインで掲載されました。

(注1)腫瘍微小環境(がん関連線維芽細胞 含む)
がん組織では、腫瘍微小環境(TME)というがん細胞とその周囲を取り巻くがん間質層の細胞成分(特にがん関連線維芽細胞(CAF)や腫瘍随伴マクロファージ)や細胞外マトリックス、および分泌因子などの非細胞成分を含む複雑な環境を形成し、がんの増殖、浸潤、転移、さらには治療抵抗性に深く関与しており、がん研究において多くの注目を集めている。

(注2)3Dインビトロモデル
間質細胞を埋没させたコラーゲンゲル上に上皮細胞を播種することで間質層と実質層からなる2層構造を付与することで口腔粘膜/皮膚の組織構造を模した細胞モデルである。培養過程で細胞の表面を空気に晒して細胞培養する、気相液相培養を用いることで立体構造を有する。

(注3)光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)
近赤外光を用いて生体組織の断層画像を取得する非侵襲的なイメージング技術である。高解像度で組織の微細構造を観察でき、眼科や皮膚科、がん研究など幅広い分野で利用される。

(注4)深層学習
コンピューターがデータからパターンや規則を自動的に学習し、その知識を使って予測や判断を行う機械学習の一分野であり、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」を多層にして用いる手法である。

 

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研究成果発表論文
掲載誌:Scientific Reports
論文タイトル:Quantitative and longitudinal monitoring of cancer cell invasion in a three-dimensional in vitro model of oral cancer using optical coherence tomography
著者:Kenta Haga, Yoshifumi Kamimura, Manabu Yamazaki, Akinori Funayama, Yuko Saito, Masako Kida, Jun-ichi Tanuma, Kenji Izumi
doi:10.1038/s41598-025-28471-y

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