包括歯科補綴学分野の小野高裕教授らの縦断研究によりよく噛めない男性はメタボになりやすいことが世界で初めて明らかになりました

2021年12月22日 トピックス 研究結果

包括歯科補綴学分野の小野高裕教授、大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野の池邉一典教授、国立循環器病研究センター健診部小久保喜弘特任部長らの研究グループは、無作為抽出した都市部一般住民を対象に、規格化された方法で測定した「咀嚼能率」(ものを細かく噛む能力)とメタボリックシンドローム(メタボ、※)罹患との関係を探る研究を行なってきました。

このたび、50-70歳代の男女599人を平均4.4年間追跡した結果、男性においては咀嚼能率が低い場合メタボの新規罹患率が2.2倍高く、特に血圧高値、脂質異常、高血糖のリスクが高いことが明らかになり、循環器病の専門ジャーナルに掲載されました。興味深いことに、こうした傾向は女性では見られませんでした。つまり、「よく噛めない」ことは生活習慣病リスクになりますが、そこには性差があることに注意が必要と言えます。

(※)メタボリックシンドローム(メタボ):
血圧高値、高血糖、脂質異常、肥満などの生活習慣病が重なった状態を呼び、日本人の死因の第2位を占める動脈硬化性疾患(脳卒中、心筋梗塞など)に繋がる病態と定義され、その予防を目的に40歳台以上を対象とした特定健診が実施されている。

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【論文情報】
掲載誌: Frontiers in Cardiovascular Medicine

論文タイトル: Lower masticatory performance is a risk for the development of the metabolic syndrome: the Suita study

著者: Shuri Fushida, Takayuki Kosaka, Michikazu Nakai, Momoyo Kida, Takashi Nokubi, Yoshihiro Kokubo, Makoto Watanabe, Yoshihiro Miyamoto, Takahiro Ono and Kazunori Ikebe

doi: 10.3389/fcvm.2021.752667

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