タイ・マヒドン大学の学生を対象に短期受入プログラムを行いました

2023年05月18日 トピックス 国際交流

5月9日から12日まで、タイ・マヒドン大学から6名の学生、1名の引率教員が来学し、短期受入プログラムとして、以下のスケジュールのもと、本学教員から講義や実習を受けました。

   

 

5月9日10:40~12:10 担当 大峡教授

最新の発生生物学と、その臨床への応用の講義、実験室見学

口腔解剖学分野 大峡淳教授から、最新の発生生物学と、その知見の臨床への応用例について紹介され、既に行われている生前治療や、これから応用されるであろう治療法についての解説がありました。実験室見学では、時系列に揃えたマウス胎仔の固定標本、透明骨格標本、核染色で顔面の形態を詳細に示すPseudoSEM法によって染色された胎仔の標本を通して、顎顔面の詳細な観察を行いました。さらに、顎顔面領域の発生に不可欠なシグナルをin situ hybridization法によって発現させた標本の観察、神経堤由来細胞特異的にGFPを発現させた標本の観察を通して、学生たちは顎顔面領域の発生生物学で用いる研究手法を体験しました。

 

5月9日13:30-15:00、15:10-16:40 担当 井上教授

Dysphagiaの講義、実験室見学

摂食嚥下リハビリテーション学分野 井上誠教授から、超高齢社会における高齢者を中心とした摂食嚥下障害が顕在化している実態が紹介されました。 高齢者のQOL維持のために、口腔や咀嚼機能がいかに重要であるかについて、症例も交えて解説され、学生たちは初めてみる嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査の画像を食い入るように視聴していました。

 

5月10日10:40-12:10、13:30-15:00 担当 冨原教授

口腔がんの講義、病院見学

顎顔面口腔外科学分野 冨原圭教授から、前半は、「Oral Oncology -From Basic to Clinic-」と題した講義が行われ、日本の口腔外科における口腔がん治療について、手術から最新の薬物療法について具体的な症例提示を中心に紹介されました。東南アジアは、日本以上に口腔がんの患者数や罹患率が高いこともあり、講義を受けた学生達の関心も高く、積極的な質疑が行われました。後半は、医歯学総合病院の歯科外来手術室における小手術と、中央手術室における全身麻酔下での口腔がん手術について手術モニター越しでの見学実習が行われました。臨場感ある臨床の現場を体験し、学生の緊張感が伝わってきました。

 

5月10日15:10-16:40 担当 高橋准教授

歯周病学の講義

歯周診断・再建学分野 高橋直紀准教授から、歯周病学の基本的事項の説明、歯周外科手術の臨床ケースの供覧、そして今現在分野で実施されている研究プロジェクトの紹介を行いました。前半部分では、歯周基本治療における細菌検査や、歯周外科手術時のCBCT撮影について、タイと日本での違いについてディスカッションが盛り上がりました。また、研究についてはペリオドンタルメディスン研究についての質問が挙がりディスカッションを行いました。

 

5月11日10:40-12:10、13:30-15:00 担当 井上教授

Dysphagiaの実験室見学、嚥下造影検査の臨床見学

摂食嚥下リハビリテーション学分野 真柄仁講師から、摂食嚥下機能の定量評価のツールとして、筋電図記録と嚥下内視鏡の同時記録のデモと体験、および、経頭蓋磁気刺激を利用した、舌筋や舌骨筋の運動誘発電位記録のデモと体験を行いました。食品の違いや摂食嚥下障害によってどの様に記録が変わるかなどの質問が挙がり、臨床応用のためのディスカッションを行いました。

摂食嚥下リハビリテーション学分野 那小屋公太助教から、摂食嚥下障害の精査方法として代表的な嚥下造影検査の説明を受け、実際に患者2症例の見学を行いました。実際に検査に使用する検査食についての質問や症例見学では検査結果を受けての対応方法などに関する質問が挙がり大変有意義な見学となりました。

 

5月11日15:10-16:40 担当 堀准教授

口腔機能評価の実習

包括歯科補綴学分野 堀一浩准教授から、高齢者に対する口腔機能評価の重要性に関する解説がありました。また、当分野医局員とともに、咀嚼能率や舌圧、口唇舌運動機能評価の実習を行いました。学生同士で数値を比較するなど、口腔機能評価の意義を実感し、楽しみながら体験していました。

 

5月12日9:00-10:30 担当 小川教授

国際口腔保健と予防歯科の講義

予防歯科学分野Kaung Myat Thwin助教からWHO協力センターとしての国際口腔保健活動と国際保健に関する施策の概要が説明され、新潟大学とマヒドン大学が共にWHO協力センターであることから緊密な連携関係であることが紹介されました。また小川祐司教授からは、アマルガム使用の段階的削減に向けての取り組み、学校歯科保健におけるフッ化物洗口の有用性、コモンリスクコントロールにおける甘味摂取抑制、タバコ禁煙支援、健康な高齢化における口腔健康について説明があり、タイとの比較や国際展望などについて学生と積極的なディスカッションが行われました。

同じカテゴリの記事