分野長 井上 誠
inoue@dent.niigata-uj.ac.jp
教育内容
加齢歯科学 Geriatric Dentistry研究内容
当分野では,咀嚼・嚥下に関する機能研究を行っています.臨床内容
摂食嚥下リハビリテーション口腔機能低下症
2016年に口腔機能低下症の臨床が保険診療として収載されて以降,本院歯科でも2018年6月には歯科口腔機能検査室が整備され,口腔リハビリテーション科を中心として,歯科外来受診患者を対象に口腔機能低下症の評価,診断および管理を行っています.
近年の業績
1.歯科受診患者の口腔機能低下症の評価の実態(W. Onuki et al. J Oral Rehabil. 48(10):1173-1182, 2021)
2.口腔機能低下症の管理の効果(W. Onuki et al. Gerodontology. 40(3):308-316, 2023)
ドライマウス・味覚障害
口腔リハビリテーション科では,「くちのかわき味覚外来」を設けて口腔乾燥症や味覚障害の対応を行っています.,唾液分泌量測定検査,唾液腺の画像検査,味覚検査,血液検査などを通して,薬剤の副作用,ストレス性,シェーグレン症候群,放射線治療後など(以上口腔乾燥症),亜鉛不足,薬剤の副作用,ストレス(以上味覚障害)などの原因を突き止めた上で治療を行っています.
近年の業績
1.薬剤性の口腔乾燥症に注目した臨床データ(K. Ito et al. PLoS One. 12;18(1):e0280224, 2023)
分野のホームページ
https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~dysphagia/index.html
附属病院のリンク
https://www.nuh.niigata-u.ac.jp/departments/dentistry12
社会貢献
1.にいがた摂食嚥下障害サポート研究会
摂食嚥下障害患者を支援するため,介護食品・食器具や口腔衛生等に係る企業との産学連携により,2009年からにいがた摂食嚥下障害サポート研究会を運営しています.2023年12月現在の会員数は個人会員約280名,企業会員18社,団体会員3団体であり,下記の活動を行っています.
1)講演会開催
医師,歯科医師,看護師,管理栄養士など様々な職種の講師を迎え,年2回の講演会を開催しています.2022年度からは会場とオンラインでのハイブリッド形式で開催しており,新潟県外からの参加も多数受け付けています.
2)食の支援ステーション運営
新潟大学医歯学総合病院アメニティーモールバス待合室内に,食の支援ステーションを設置し,介護食品・食器具や口腔衛生用品等の展示と助言を行っています.
3)摂食嚥下セミナー
地域一般住民を対象に,新潟大学医歯学総合病院アメニティーモール研修室にて,月2回のセミナーを開催しています.(2020-2023年度は,コロナ禍のため中止中)
詳細は下記ウェブサイトをご参照ください
https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~dysphagia/support/
2.ばりあふりーお食事会
摂食嚥下障がい児およびその家族に,外食を楽しむ機会を提供するための活動をしています.毎年1回,ホテルが提供するフルコース料理を,普通食,後期食,中期食,初期食,注入食の5段階で提供し,摂食嚥下障害を専門とするスタッフが食事介助や助言も行っています.新潟県内の特別支援学校教諭らの取り組みを,2009年からにいがた摂食嚥下障害サポート研究会が共催となって開催したもので,2023年度からは当分野が主催しています.2023年には内閣府の第1回「未来をつくるこどもまん中アワード」を受賞しました.
今後は,外食可能な飲食店の増加を目標として,調理師や栄養士,学生等の人材育成も行う予定です.
3.摂食嚥下専門開業歯科医師養成
新潟県内の地域における要介護高齢者は増加の一途であり、高齢化率は33.6%と全国平均を大きく上回っています.摂食嚥下障害を有する要介護高齢者は全体の約 20%、さらにその4割は在宅の要介護高齢者とされていますが,在宅や高齢者施設では,摂食嚥下障害に対する認識の不足から,正しい評価や判断に基づく食支援が得られていない可能性があります.以上を背景に,当分野では2012年から摂食嚥下治療の専門歯科医養成のための研修を開始し,2015年からは県歯科医師会の支援養成事業・摂食嚥下治療登録医養成研修を行っています.
詳細は下記ウェブサイトをご参照ください
https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~dysphagia/clinical/ve_doctor.html
4.摂食嚥下障害の在宅診療システムの構築
医療資源にアクセスが困難な摂食嚥下障害患者への大学(専門診療医)からの指導や,関連多職種の情報連携を円滑に行うための在宅診療システムを構築し運営しています.在宅診療医が摂食嚥下の評価等を行い,専用のアプリに入力すると,チームとして登録されている医師,看護師,歯科医師,言語聴覚士等が情報にアクセスすることができます.また,大学所属等の専門診療医からの助言を受けることが可能です.
2023年度から運営を開始しており,将来的には,日本全国で使用可能な遠隔医療支援アプリケーションの開発と普及を目指しています.
詳細は下記ウェブサイトをご参照ください
https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~dysphagia/clinical/oishien.html
主な研究テーマ図